口内炎と漢方薬 |
口内炎は反復しやすい症状ですが、根本的な治療には、あまり目が向けられていないのが現状です。中医学では、口内炎は単なる局所の症状ではなく、内臓の異常の表れであると考えています。それぞれの原因に応じた処方で治療するため、再発の予防にも有効です。 |
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口内炎の原因とメカニズム |
現代医学では、細菌や薬剤によるものなどの特殊なケースを除いて、ほとんどの口内炎は原因もメカニズムも不明とされます。治療も対症療法が主体となるため、反復性の口内炎などには、対処法があまりありません。
一方、中医学では、口内炎を単なる局所的な炎症とはとらえず、内臓の異常の表れと考えます。そのため、問題が起こっている臓器を治療することで、炎症をしずめるとともに、再発を防ぐことができます。
口内の症状とかかわりが深い臓器は、「心」と「脾胃」です。特に、唇の裏や舌の奥には脾胃、舌の先は心の問題が現れやすいといわれていますが、やはり決め手は胃腸症状の有無です。胃腸症状があれば脾胃、なければ心を中心に治療を進めます。
口内炎を起こす直接の原因として、最も可能性が高いのは「熱」です。この熱が「実」のタイプか「虚」のタイプかを見極めることが、診断のポイントとなります。治療は、実の場合は熱を取り除き、虚であれば水分を補って熱の発生を抑えるという方法をとります。ただし、抵抗力が落ちている人や虚弱な人の場合は、熱が原因ではないこともありますので、見極めには注意が必要です。 |
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主な症状と治療の実際 |
心に主な原因がある場合
@炎症が強く、舌に黄色い苔がある
赤く痛みの強い口内炎が突然でき、少したつと白くただれたようになる場合は、心に発生した余分な熱が関係しています。このとき舌には黄色い苔がついているのが特徴です。薬は、熱を取り除くものを用います。
A口内炎の色が白っぽく、あまり痛まない
白くただれたような口内炎でも、痛みがあまり強くない場合があります。これは、からだに必要な水分が不足したために、水と熱のバランスがくずれ、心の熱が相対的に余った状態です。この場合、舌の苔は少なく、手のひらや足の裏がほてる、寝汗をかく、のどが渇くなどの症状をともないます。
このタイプの口内炎には、からだの水分を調節し、心の熱をさますものが適しています。虚熱が原因で起こる膀胱炎にもよく使われる薬です。
B口内炎が治りにくく、反復する
からだに必要な水分と血がともに不足すると、口の中が乾いて熱をもちやすくなり、口内炎が反復してできることがあります。このほか、皮膚が乾燥する、顔につやがないなどの症状をともないます。このような体質素因があって、口内炎が慢性化しているときは、潤いと血の不足を補うようにします。
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脾胃に主な原因がある場合
@炎症が強く、胃に灼熱感がある
赤みや痛みが強い口内炎で、胃に灼熱感が ある、のどが異常に渇く、冷たいものを飲みたがる、といった症状をともなうのは、胃に発生した熱が原因と考えられます。
A炎症が強く、吐き気や食欲不振をともなう
炎症が激しい急性の口内炎で、舌にべたっとした黄色い苔があり、吐き気や食欲不振をともなう場合は、主として脾胃の湿熱が関係しています。
B口内炎が慢性化し、胃腸の調子が悪い
ふだんから胃腸の調子がすぐれず、口内炎が反復してできるような場合には、胃と腸のバランスがくずれて、湿熱が発生しやすくなっていることが考えられます。
Cみぞおちに灼熱感があり、舌苔がほとんどない
みぞおちの灼熱感や、のどが渇いて仕方ないという症状をともなう口内炎は、胃の水分の不足が原因です。この場合、舌はピカピカと光り、苔はほとんどありません。
Dもともと胃腸が弱く、口内炎が治りにくい
口内炎は主に熱が起こす症状ですが、赤みも痛みも少なく、治りにくい口内炎の中には、からだの防衛能力の不足が原因となっていることがあります。この場合、胃腸が弱い、疲れやすい、かぜをひきやすいといった症状も現れやすくなります。治療は、まず気を補って自然治癒力を助けることがたいせつです。
Eストレスが強く、胃腸の調子が悪い
ストレスが原因で胃腸の調子がくずれ、口内炎ができる場合があります。イライラしやすく、月経不順などをともなう女性の口内炎は、疎肝剤を用いることもあります。 |
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口内炎、胃潰瘍や胃炎、歯槽膿漏、口臭、疲労回復、皮膚病などの薬理作用が知られてい。近年、成分の多糖体に制癌作用があるとも報じられている。民間では健胃薬や糖尿病、高血圧の予防薬として用いられている。一般にササの葉をミキサーにかけた青汁や、何度か煮つめるように煎じたクマ笹エキスが服用される。製剤化されたものでは医薬品の、ササヘルス、サンクロン、松葉などと配合した松寿仙などがある。 |
口内炎の治療に用いられる漢方薬方は、上記の通りですが体質によって変わる場合がありますので、問診カードにご記入の上、ご相談下さい。
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