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朝晩の冷え込みが厳しくなると、体調を崩し易い人がいます。この時期、気分の落ちこみが極度に激しい人がいます。そのような人はウツ病の一種で1984年に米国の研究者により新たな病気として発表された"季節性感情障害"の可能性があります。
この障害は主に秋〜冬にウツ状態になり、春になると改善に向かうというサイクルを繰り返すのが特徴です(そのため、冬季ウツ病とも呼ばれます)。症状は一般的なウツ病でみられる無気力などの症状を除き、逆の症状が現れるのが特徴です。
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冬季ウツ病の原因には日照時間が関係していると考えられでいます。眠気を引き起こすホルモンであるメラトニンは、暗くなると分泌が活発になります。日照時間が短い冬は、メラトニンの分泌のタイミングがずれたり過剰になるため、眠気を感じやすくなります。また、ウツ病の人に不足するといわれる脳内神経伝達物質セロトニンも、日照時間の短縮により減少することが指摘されています。
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東洋医学における"冬季ウツ病"とは |
東洋医学における冬季ウツ病(一般のウツ病も含む)は気滞や気虚による病態の一つとして考えられています。五臓の一つである肝は、気を全身に巡らせ多少のストレスがあってもそれを上手に処理して五臓をスムーズに機能させます。この肝の疏泄作用が上手くいかなくなると気の巡りが悪くなりウツ症状を引き起こすと考えています。
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冬季うつ病の治療には? |
@高照度光療法
冬期ウツ病の治療の第一選択とされています。2000ルックス程度の光を毎朝浴びることで、自律神経に関わるセロトニンを活性化し、生体リズムを睡眠から覚醒に切り替えます。
冬季ウツ病の患者に光療法を実施した結果、約70%の人に何かの効果が認められており、早いと1週間以内に効果が現れると報告されています。
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Aリズム運動
リズムのある運動を続けると、セロトニン神経の電気信号の発生頻度が増えて、セロトニンの分泌量が増えます。リズムを取れる運動であれば何でも効果があります。中でもセロトニンウォークは手軽に行えるためにオススメです。
〜セロトニンウォークのポイント〜
◆リズムを意識して行う(漫然と歩くだけでは、効果は上がりません)
◆セロトニンの活性化は開始して5分後ほどで起こります。そのためリズム運動の継続時間は15〜30分を目標にして下さい。
◆なるべく毎日続ける。セロトニンの活動レベルを恒常的に上げるには、三か月はかかると言われています。
「具体的な方法」
歩調に合わせ「ハッ、ハッ、ハッ」と3回吐いた後「スー」と一回吸うパターンが基本。これにより更にリズム運動の効果が上がります。
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B食生活
セロトニンは必須アミノ酸の一つであるトリプトファンから作られます。その際にビタミンB6も必要になってくるため、これらを豊富に含む食材を積極的に摂取することが大切です。
また国立国際医療センター研究所の最近の調査では葉酸の摂取が少ない人ほどウツ症状の割合が高いことが分かりました。原因は明らかではありませんが、葉酸がウツ症状に関与する脳内の物質量に影響していると考えられています。
葉酸が豊富な食材 |
トリプトファンやビタミンB6が豊富な食材 |
レバー |
カツオ |
海草類 |
バナナ |
ほうれん草など |
枝豆など |
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コラム |
【腸からもココロは生まれている】
腸に不快な刺激が加わると、不安感が引き起こされ易いことや、消化管に疾患を持つ人は、他の疾患を持つ人よりメンタルヘルスの質が極めて低いことが海外の調査により分かりました。またセロトニンの90%が小腸の粘膜にあるクロム親和細胞で生成されます。このように腸とココロは密接な関係にあるため、胃腸を健全な状態に保つことがウツ病の発症予防には非常に重要です。
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うつ病の兆候についても、相談フォーで受けています。お気軽に相談下さい。 |