◆酸味
酸味には収斂(集める)と固渋(固める)の働きがあります。酸っぱい梅干を見ただけで、よだれが貯まるのも収斂の集めるという働きです。お酢を寿司のシャリに入れるのは、中は柔らかく表面を堅く固める働きがあるからです。酸味は~ちょっと動いても汗が出る、寝汗をかく、慢性の下痢、尿の出過ぎ、早漏などを「出渋」らせるという働きに関与します。また、ストレスの解消や、体内の老廃物の処理を助けたりします。女性が妊娠すると酸っぱい物を欲しがるのは、老廃物を処理するためです。
◆苦味
苦味のある食べ物は、身体の熱を冷まし、乾燥さすといういう働きがあります。暑い夏になると身体がほてったり、普段から暑がりで冬でも薄着をしたり、いつも真っ赤な顔をしている人は、「熱證」のタイプに属します。
苦味は身体の余分な熱を冷まし、体温のバランスをとってくれます。また、余分な水分を除く働きもあるので、苦味の食べ物は利尿に働くものが多いです。苦味の食品は、アルカロイドなど激しい作用があるので、食べ物としては少なくすべきで、苦いものは甘味も含んでマイルドになっている物も少なくはありません。
◆甘味
甘味には補陰・弛緩・中和の働きがあります。疲れると無性に甘いものが欲しくなる事があると思います。これは、疲れとともに気血が不足しているからで、不足した気血を補ってやると疲れも早く取れるのです。このような働きを東洋医学では補養作用と呼びます。気血が不足することを[虚證]といいます。虚證を治すにはナツメ・ハチミツ・甘草・砂糖などの甘味のものを多く用います。
◆辛味
辛味には、発散と運行の働きがあります。トウガラシのような辛味の強いものを食べると身体がカ~ッと暑くなって汗が出てきます。これは発散と運行の働きです。血液の循環がよくなり、身体が温まってきます。
辛味を多く食べると身体は熱くなり、体温を調節するため汗が出てきます。暑い国の人が辛味
の物を多く食べるのは、身体に残った余熱を発散さ体温を調節するためです。
◆鹹味(からみ)(かんと読む)塩辛いことです。
鹹味の食品には、堅くしこったものを軟らかくする軟堅・散結と言う働きがあります。漬け物にお塩を入れますが、この軟堅の働きを利用したもので、漬け物は表面を柔らかく中をしっこり固める働きを利用したものです。お酢の表面は固く中は柔かいとは反対の働きです。バセドウ氏病のように腫脹のみられる病気に、鹹味の昆布・アサクサ海苔が応用されます。
海産物や肉類には鹹味の食品が多い傾向があります。海産物にはビタミンやミネラルに富み、肉類はタンパク質やアミノ酸を多く含みます。そこで、肉体の虚損、慢性の衰弱や肉体の老化などに積極的に利用しています。また、鹹味には瀉下作用があるので、便秘などにも用いています。
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