日本中医学院卒業 北京・広州中医学院留学 日本自然療法学会会員 日本薬膳振興協会会員 八面蒙色研究会講師 | |
生薬名 | 鹿茸 ろくじょう |
効能 | 温腎補陽・強筋骨・健胃・生精補血 |
起原 | 中国東北部、朝鮮半島、ロシアなどに生息する哺乳動物、シカ科の満州ジカ(梅花鹿)および満州アカジカ(馬鹿)の雄のまだ骨質化していない幼角、いわゆる袋角を用いる。シカの雄は生後2年目の春から角が生える。角は毎年生え変わり、春に紫褐色の毛の生えた瘤のような袋角が隆起し、夏から秋には成角となる。この成長期の角を鹿茸として用いるが、鋸で茸角の基部で切りおとした鋸茸と、殺して頭蓋骨をつけたまま加工した砍茸カンジョウとがある。最近は鋸茸が主であり、生後3年目から毎年1~2回採取する。日本ではおもに分枝した鹿茸が輸入され、一般にマンシュウジカから採った「花鹿茸」が貴ばれている。また現在、中国産とロシア産とが流通しているが、ロシア産の方が良品とされている。鹿茸は火で焼いて毛を除き、焼酎に一昼夜浸したあと薄片にして乾燥したものを薬用にする。一般に尖端部ほど品質がよい。 |
有効成分 | 有効成分は明らかではないが、性ホルモンが含有されているという報告もある。動物実験では鹿茸を投与すると発育や造血機能を促進する作用が認められている。また鹿茸からアルコール抽出したパントクリン(鹿茸精ルーロンジン)には心臓機能の回復作用、強壮作用、筋肉疲労回復作用、消化機能促進作用などが報告され、臨床的にも鞭打ち損傷や自律神経失調症などに効果がある。 |
薬理作用 | ●漢方では代表的な補陽薬である。 腎陽を補い、精血を益し、筋骨を強める効能がある。インポテンツや不妊症、精力の低下などには強壮薬として単独あるいは人参、海馬、海狗腎などと配合する(海馬補腎丸)。病後の体力低下や虚弱体質に人、黄耆などと配合する(参茸補血丸)。また体力の衰弱や婦人の貧血などには当帰、熟地黄などと配合する(鹿茸大補湯)。腰痛や筋肉痛、関節痛には虎骨、木瓜などと配合する(舒筋丸)。中国では鹿茸は人参や豹の皮とともに東北三宝の一つとして有名で、鹿茸を単独で製剤化した鹿茸片や人参と配合した参茸片、蒸留酒に漬けた鹿茸酒などもよく知られている。
漢方のくすりの辞典米田該典監修(コンドウ薬局DB化)より |