肌の乾燥のメカニズム |
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秋が深まり冬になるとともに、肌が乾燥しやすい季節になってきます。若いころはハリもツヤもあったのに、年をとるにつれて肌がかさつき、足や腕、背中や腹などが痒くなる人が多くなります。
夜、布団に入ると体が痒くなり、なかなか寝つけないことがあります。秋から冬にかけて肌が乾燥するのは、外気の乾燥や室内の暖房による乾燥に加えて、気温の低下で汗をかかなくなり、皮膚への水分補給が減るためです。
肌の表面は何層もの角質と、その表面をおおう皮脂(ひし)からできています。皮脂の代表といえば鼻のあぶらですが、皮脂は全身の皮膚にも分泌されていて、角質層に含まれる水分の蒸発を防いでいます。しかし、40代後半からは皮脂の分泌が徐々に減るため、年をとると肌が乾燥しやすくなります。乾燥肌(ドライスキン)は、角質層の水分量が10%以下になった状態と定義され、外部刺激を受けやすくなります。
そのため、衣類が触れただけで、ヒスタミンが遊離してきて足や背中が、痒くなったりします。また、乾燥した肌は「ひび」や「あかぎれ」になりやすく、細菌にも感染しやすくなります。皮膚が白い粉をふいたようになり、痒くなる「乾皮症」(かんぴしょう)は爪でかくと炎症や湿疹を起こすことがあります。とくに膝から下の脛に多く、そのまま放っておくと細菌に感染して化膿(かのう)することもあります。
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漢方の考え
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発散力の不足
ヒトはのように、皮膚表面から発汗によって一日200ml、発散によって400mlの水分を出しています。体の中の余分な水分や老廃物を出すこととで体温の調節を行ってます。漢方ではこのような状態を「営衛(えいえ)」が調和された状態と考えます。発散は発汗ではなく、自分では発散している自覚はありせんが、汗より多くの水分を出しているのです。
老人性皮膚炎の体表部では、十分な発散が行われていません。これは季節や年齢などで、皮膚表面の組織が壊れたり、毛根が潰れたりしているため、皮膚の開閉(皮膚も呼吸器の一部)が機能していないからです。発散が不十分なときは体表部に熱をもち、老人性皮膚炎などの原因となり、皮膚表面の荒れや痒みを誘発します。
治療は、体表部の荒れた皮膚を修復して、充分な発散が出来る状態にします。主訴である肌荒れと炎症、痒みを止める方法を用います。 |
漢方の処方 |
当帰・地黄・芍薬・川芎・何首烏・蒺藜子・防風・荊芥・黄耆・甘草。
【効能】
冷え症の者の諸症:慢性湿疹(分泌物の少ないもの)、かゆみ。
【作用】
補血潤燥・止痒
【目標】
血虚生風(皮膚がかさかさして艶がない、落屑、小さな皹裂遊走性のかゆみ、発赤や滲出物が見られない。)
【解説】
本方は痒みをともなう乾燥性・萎縮性の皮膚病変に対する処方である。四物湯が基本で、当帰・川芎・芍薬・地黄は血虚と血燥を治し、蒺藜子は、瘙痒を治す、荊芥・防風は風熱を去り、黄耆は肌表に働き、何首烏は滋養強壮の作用があり、血虚、血燥、風熱による皮膚瘙痒に用いる。従って、皮膚枯燥があり、分泌物も少なく、乾燥し、発赤も少なく、瘙痒を目標とした、老人や虚弱の人に用いる。
●地黄・当帰・芍薬・何首鳥は、全身、皮膚を栄養、滋潤し皮脂の分泌を高め、萎縮。血燥を改善(補血)
●当帰・川芎は、血管拡張作用がある。
●防風・荊芥は、表在血管を拡張し、又、何首烏・蒺藜子のステロイド様作用により痒を止める。
●黄耆は、皮膚の機能を高める。
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老人性皮膚炎も体質の違いで治療法が変わります。相談フォームでご相談下さい。
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