中医学では、発病因子によって滋養供給の流れが停滞したり不足したりすると、痛みが起こると考えます。心の病変で胸が痛むのは、心を通る血管の流れが滞ったり、血が不足するからです。
また、発病因子に因って症状が起こることを実、滋養の不足によって機能が失調して症状が起こることを虚といいます。従って、滋養の停滞によって起こる胸の痛みは実痛、滋養の不足に因って起こる胸の痛みは虚痛といいます。
実痛の原因は、感情の鬱滞による内臓機能の停滞や、飲食の不摂生などによって体内で生まれた不要な水分が集まって水毒となったり、内外の環境の変化で寒邪や熱邪といった自然環境の過度の変化、あるいは気滞の結果生まれる血流の停滞です。
一方、虚痛の原因は、心の活動に必要な滋養の不足や、からだの物質面と機能面のバランスの失調などです。実際は、からだの衰えに発病因子がつけ込むというように、虚と実がからみあった状態で胸の痛みが起こるケースがほとんどです。従って、中心となる原因を見極めることが大切です。
TOP
|