五十肩の成り立ち |
五十肩は、「肩関節周囲炎」ともいい、肩と上腕を結ぶ肩関節が自由に動かすことができないもので、手を上に上げたり後方に曲げようとすると痛みを発する。
これは、肩関節及びその周囲組織の変性によるもので、四〇歳から五〇歳代の初老期に発症することが多い。大体は、肩関節を組織している上部の旋回腱板が石灰化したり、断裂を起こしていて、動かそうとすると周囲の軟部組織に負担が加わって痛みを発する。この状態が慢性化して行くと、頸・肩・腕などに痺れや神経痛が起き、ズキンズキンと痛み夜眠れないようになる。
直接の原因は、頸椎軟骨症からくるものと、手に行く神経が前頸部で前斜角筋に圧迫されて起こるもの、さらに鎖骨と第一肋骨に神経が圧迫されて起こるものがある。これは、労働過剰や頸椎前屈位(首を垂れて)で仕事をしたり、姿勢の悪さが原因して起こることが多いと考えられている。以上は、肩関節周囲炎を現代医学的にまとめたものである。
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五十肩の仕組み |
肩関節に、何故炎症を起こすのか?
正常な肩関節は、肩部や上肢部の筋腱の働きによって、上下左右自在に動かすことができる。五十肩の場合は、肺、肝、腎が機能低下か亢進を起こし、肩関節に関連がある肩部・胸部・背部・上肢などの筋腱に病的硬結を起こしたり、旋回腱板が石灰化したり、肩関節の運動を極度に制限する。このような状態から、無理に動かそうとすると炎症を誘発して、肩関節周囲炎が起こる。
肩部や上肢の筋肉が何故硬結するのか?
肩部や上肢の肩腕筋が、どうして弾力を失って硬結を起こすのか。一般的に、五十肩の患者は、幼少時や成年時の肺未成熟期に、結核・胸膜炎・肺炎・喘息・鼻炎・気管支炎・アトピー性皮膚炎など肺疾患の既応歴を持っている人が多い。
人によっては、家人や本人が知ら加いうちにこれらの疾患を患っている場合がある。このことは、本人が知らなくても、肺の疾患者は必ず、「鼻梁山根」に、肺の病痕の反応が現れている。共通診断点として、胸鎖乳突筋が硬縮して頸椎が曲がっている。
このように、肺に疾病が起これば、その後遺症として肺を取り囲にでいる胸背部の筋肉が疾病の軽重と体力の強弱に比例して、それなりに硬縮している。とくに、胸部や肩背部の内層筋肉をはじめ、胸鎖乳突筋に硬結を起こしている。
それが、右肩関節に障害のある患者は八歳以下のときに右肺が侵され、左肩関節に疾患のあるときは、八歳以上の年齢に至ってから左肺が侵されている場合が多い。
中には鞭打や怪我の後遺症が、神経圧迫の原因になっていることもある。五十肩は、幼若時の肺疾や鞭打ちなどの後遺症に因って、肩腕筋がすでに硬縮ぎみになっているところへ、更にその後の生活で不摂生や無理な労作が加わって、肩腕筋を硬結させた結果である。なお、肩腕筋硬結の器質的な原因は、頸椎・胸椎神経や上肢にいく神経が途中で圧迫され、それらの筋肉が栄養されなくなっていることにある。
肩関節の腱板が、何故石灰化するのか
五十肩になっている患者のもう一つの特徴として、※寿司ネタになるよなウニ、イクラ・イカ・赤貝・トリ貝・エビなどの石灰質が多量に含まれている、食品を好んで食べていることが挙げられる。これは、肺疾患後遺症や鞭打ちなどに因ってすでに肩腕筋の生理作用が低下し、他の組織より新陳代謝が低下しているところへ、石灰質の多い栄養素がめぐっていくので、どうしても沈着しやすいのである。
それに、肩部や肩関節の上部の周囲は運動性が少ないので、自然そこを中心に石灰分が沈着するうになる。また、手をあまり使わないような人は、肩部や肩関節だけでなく、肘関節や手関節にまで石灰分が付着して、上肢全体の運動範囲を狭くしているものもある。このようなことから、肺疾後遺症や鞭打ち経験者でも、石灰質を多く含んだ食品を必要以上に摂らなければ、たとえ五十肩にかかっても筋肉硬縮だけの軽い障害ですむのである。
※魚介類を多く食べて、普段から下痢しない者は、石灰質が多く停滞しやすい。
何故、ズキンズキンと痛んだり痺れたりするのか?
肩腕筋が硬くなっているところへ、その後の生活で、肩腕筋に労働などで負担をかけ、肩腕の筋肉を更に硬直させ、肩関節の運動性を狭めたり、上肢を硬結させたりして五十肩になっている。
患部の肩関節や筋肉が硬くなっているので、正常な筋肉に比べて、神経伝達や血液循環がスムーズに行われず、栄養物の循環や疲労物質の排除が悪くなって、これを自己治癒力で修復しようとするが、昼間は全身(体表)の方に血液が使用されているので、あまり患部修復が行われない。
夜間になると全身(体表)の循環が減り、患部の代謝が旺盛になる。修復力が旺盛になっても患部の筋肉は硬くなったままで、神経の伝達や血管の拡張が思うようにできない。
自己治癒力のほうは修復しようと、強制的に神経の伝達を増すので、硬くなっている患部の筋肉が修復されず、痛み痺れを感じる。以上のように、五十肩の場合、昼間あまり痛まないで夜中に苦しむのは、治癒力が夜間に旺盛に働いて患部を強制的に修復しようとするからである。
※瘀血の特徴
・夜間の痛み
夜間は内面の血液量が増加する。患部が硬くなっている所へ血流を強制的に増やそうとするので、夜間の痛みになる。漢方で言う瘀血とは、夜間に痛む原因の筋肉の硬直も瘀血の範疇に入る。
※瘀血の症状
・打撲・閉経・寒が凝し気滞・気機の阻滞・経脈の阻害・瘀熱が互いに結す・瘀が積して癥瘕をなす。
・蓄血して発狂・面色の藜黒・皮膚は青紫となり鱗状に乾枯する・局部の固定した刺痛で按ずるを嫌う。
・紫色の血腫・小腹の硬満・胸肋のつっぱるような痛み・経閉・大便黒色・舌紫暗あるいは瘀点がある。脈渋、健忘・驚狂
■血液循環障害、とりわけ、毛細管の循環障害によるところの鬱血・出血・血栓・水腫など。
■炎症による組織の滲出・変性・壊死・萎縮・増生など。
■代謝障害による組織の病理反応。
■組織の無制限な増生、あるいは細胞分化の不良。
五十肩になりやすい原因
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五十肩になりやすい原因 |
前述したように、幼若時に肺が犯され、後遺症として肩腕筋に硬結を起こしているものに多くみられるところから、幼若時に肺が犯されやすい体質のものが五十肩の原因となりやすいことになる。
肝旺・心旺体質(亢肝・亢心)
肝旺・心旺体質の人は、体質的に他臓より肝と心が旺盛に働くので、その両者の剋にあたる肺が障害を受けやすい。とくに幼若時は肝が旺期・心が相期・肺が囚期なので、ますます肝・心を亢旺にし、肺を剋しやすくさせる。
このように、肝・心旺体質の人の幼若時は肺が侵されやすいので、少しの無理や不摂生でも高熱を発して肺の障害を起こす。すなわち、肝・心旺タイプの人は、幼若時に肺炎などにかかりやすく、また、それが熱年に至っては五十肩になりやすい体質になっている。
心旺体質
心旺体質は、前項の肝旺・心旺体質とほぼ同じであるが、心剋肺と一の剋(相乗)なので、肝旺・心旺タイプより多少肺にかかる剋(相乗)は軽くなる。しかし、肝が旺・心が相・肺が囚になる幼若時は、この体質も前者と同じように肺炎などにおかされやすい。
どの体質でも、幼少時ほど肺が未成熱なので肺がおかされやすいが、とくに、心旺や肝旺体質は肺を剋することが多い。なお、心旺体質の場合は、ちょっとの風邪でも高熱を発し、急性肺炎にかかりやすい。このタイプも、肝旺・心旺体質と同じく、五十肩の原因をつくりやすい体質である。
肝旺体質
肝旺体質は、前項の心旺体質に比べて肺を剋傷することは少ないが、幼若時にはどうしても肝旺・心相と、肝・心が旺盛になり、その反対に肺が未成熱で器質的にも機能的にも弱いので、剋傷を受けやすい。とくに、肝旺体質の場合は、心が旺期に入りかける一五歳から二五歳までの成年期のほうが、肺の疾患にかかることが多い。
しかし、肺を機能低下させるような生活をすれば、年代に関係なく肺の疾患を起こすことになる。肝旺体質は、幼若時の後半に肺の疾患におかされることが多く、心旺タイプとともに熱年期に至って五十肩の原因をつくりやすい。
脾旺体質
脾旺体質は、体質的には肺を直接剋しないが、脾の原動力は心で、脾が旺動すると心も連鎖的に旺動して、肺を剋しやすくなる。とくに、幼若時は肺が未成熱なので、脾に酷使されて旺動している心にも剋されるのである。
それに、あまり脾の過旺動を続けていいると、脾剋腎になって腎も機能低下を起こし、腎のほうからも肺気を泄気され、二重の剋を生じ、ついに肺の疾患を引き起こすことにもなる。すなわち、脾旺体質の人も、幼若時には肺の疾患を起こすことが多く、心旺や肝旺タイプとともに五十肩の原因をつくりやすい。
肺弱体質
肺の弱い体質は、もともと肺が弱いので、少しの無理や不摂生でも肺の疾患を起こしやすい。しかし、肺だけでなく五臓全体が弱ければ、肺の疾患にかかりやすいとは限らない。ただ、肺ひとり弱い場合は、肺の病になりやすい。幼若時はとくに肺が未成熱なので、肺疾患におかされることが多い。
後天的に肺を障害させる生活
先天的に五のバランスがとれて肺が健全な体質であっても、後天の生活のなかで肺を傷める生活を続けていると、肺機能が低下して、ついに肺に障害を起こすことになる。とくに、幼若時の肺の未成熱期に肺を障害させる生活をしていると、肺の疾患にかかりやすい。しかし、この場合生活の不摂生から生じているものなので、前項の体質的な関係から生じているものより軽症ですむことが多い。以上は、体質と生活面からの原因であるが、実際は体質的なアンバランスのうえに後天生活の悪条件が重なって、肺の疾患になっている場合が多い。
頸椎・上部胸椎神経の圧迫
後天生活のなかで、頸椎や上部胸椎神経を圧迫させたり、亜脱臼を起こさせていると、肩部や上肢の筋肉が硬結を起こして五十肩になりやすい。これは、主に肺・腎・肝の機能を低下させる生活を長く続けている人に多い。また、外因的なものとしては、鞭打が治りきらないで、頸背部の脊髄神経の圧迫を起こして五十肩になっている場合もある。
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五十肩の原因を誘発させる生活 |
五十肩は肺を犯したり、鞭打症になったりして、頸椎・胸椎神経の走行に障害を起こして原因をつくっているが、これらの原因をさらに悪化のほうに誘発させているのが、不摂生な生活や過重労作である。五十肩の原因を誘発させる生活や、過重労作の具体的内容を次に挙げて、誘因是正の参考にしてみよう。まず、誘因となる主なものを挙げてみると、肺・腎・肝の機能低下となる生活である。
これらの三臓は、必ず三者同程度の機能低下でなくても誘因となる。譬えば、体質的に肺に力がなく、平素から肺が過剰負担となっていれば、腎・肝を機能低下させる生活をしても肩腕筋が硬結して五十肩の症状を発する。また、腎が弱い場合は、肺と肝に過剰負担となる生活をしても、肩腕筋が硬結を起こして発症する。しかし、病症の軽重は三臓のからみでなく、体力の有無と五臓の力差の相違度である。
肝機能を低下させて五十肩の誘因となる生活
肝機能を低下させる生活は数多くあるが、そのなかから五十肩の症状を誘発しやすいものだけを挙げてみると、アルコール類・防腐剤や薬剤使用の飲食物(とくに、コーラ・ラーメン・インスタント食品など)・脂肪を多ぐ含む食品(脂身の多い肉・ベーコン・バター・マーガリン・うなぎなど)・辛味・生魚(ウニ・イクラ・イカ・赤貝・トリ貝・エビ・トロなど)がある。
以上は、肝機能を著しく低下させるものと、また肝機能を低下させながら患部を痼疾化させる要素の多いものが主である。譬えば、アルコールや薬剤類の多く含まれる食品は、肝に非常な負担となり、脂肪や石灰質の多く含まれているものは、患部空隙を痼疾化しやすくする。
肺の機能を低下させて五十肩の誘因となる生活
何といっても肺で五十肩の誘因となるのは、タバコである。喫煙すると、肺が亢進して全身の筋肉が収斂を起こす。とくに、肺の支配下である上焦部の筋肉が強く収斂される。これに五十肩になる要素があれば、硬縮ぎみの肩腕筋をいっそう硬結させるので、強烈な誘因になる。
また、前かがみの胸部を圧迫する姿勢で、上腕を動かさず手の先だけの仕事を長い期間続けていると、肺機能が低下するだけでなく、肩腕筋が固定されていっそう筋肉が硬化されやすくなる。辛味のものを好にで常食をしていると、肺と肝が亢進して肩腕の筋肉に硬化を起こす。特に、患部筋肉がよけいに硬化するので、痛みやしびれ感を発しやすくなる。
腎機能を低下させて五十肩の誘因となる生活
腎では、まず、凝縮作用を持つ塩分の摂取過剰が挙げられる、塩分は、体内でも固まる性質を発揮するので、必要量を越すと、筋肉や血管を収縮させ、体液にも過剰な浸透圧を与え、また血液なども濃度を強くして凝結しやすくする。五十肩のように、硬結を起こしている代謝の悪い筋肉では、いっそう患部を硬化させたり、石灰化させるのでよくない。
また、長時間立っている職業や冷房のなかですごしているような人は、腎機能に著しい負担をかけて深部筋肉や血管を収縮させるので、五十肩の誘因となる。そのほか、風呂上がりの冷たい飲み物や夕夜に冷える材質の飲食物も、深部筋肉を硬結させるのでよくない。
以上は、肝・肺・腎の機能低下に因って誘発しやすい主な生活であるが、この三臓を一緒に機能低下させる生活をしている場合が多い。譬えば、立ち仕事の職業で(腎虚)、よくタバコを吸い(肺虚)、仕事が終わるとアルコールを好にで飲む(肝虚)とか、また、机上で前傾姿勢のまま長時間胸部を圧迫している職業で(肺虚)、塩分の強いものが好きで(腎虚)、夕食などにビールを飲みながら寿司をよく食べる(肝虚)などといったように、肝・肺・腎の三臓を一緒にに傷める生活を習慣的に続けている例が多い。
それに、上肢をあまり使用しないで固定させている生活をしていても、肩腕部の筋肉にこりを生じて硬結しやすくなる。また、この逆に上肢に力を入れて絶えず上肢筋に過剰負担をかけていても、肩腕筋が凝結をおこして五十肩の症状を発しやすくなる。
なお、すでに五十肩になっている人が、コーヒーやグリーン茶などを摂りすぎると、肝・心が亢進して痛みな誘発させて、夜中に苦しむことが多い。また、疾病になっている状態のとき、健康のときとは、体の抵抗力が全く違うので、健康時の量を摂ると過剰になるので注意しなければならない。
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治療法:原因療法 |
五十肩は、一般的に放っておけば自然に治る疾患だと云われているが、自然治癒だけに頼ると1~2年はかかる。しかし、患者にとっては一日でも、神経がズキズキ痛んだり、手が自在に動かせずに不自由なのは辛い。
患者の苦しみを早く救うために、針お灸をはじめとした手技治療や漢方薬療法だけでなく、原因や誘因を成している基本生活の是正も同時に行うことが大切である。
名治療や妙薬を施しても、一方でタバコを吸ったり、アルコールを飲んだり、辛味のものや石灰質の多い食品を食べ続けていたのでは、治療が一時的に効いても、症状が必ず反復することになる。
極端な話が、原因や誘因となっている生活を是正すれば、他の治療を施さなくても痛みは去る。また、硬化して動かない患部は、入浴して筋肉が軟らいだ湯上がりに上肢運動をしたり、鴨居などにぶら下がっているだけでも治ってくる。
実際には、生活原因となっている不摂生をやめるのが難しく、どうしても安易に治してくれる治療や薬の手助けを必要とするのが患者心理である。ただ、治療家としては、生活是正の重要性を、深く認識して患者を指導したり、治癒期間を推察したりしなければならない。
特に、これからの中医師や針灸師は、病気を治すだけでなく、心身を含めた人間全体を治せなければ、社会に有用されなくなる時代が来る。
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五十肩を成している肝・肺・腎を機能低下させる生活原因 |
- 酒・ウイスキー・ビールなどのアルコール類を常飲している。
- コーラ・ラーメン・インスタント食品などをはじめ、防腐剤・薬剤などを使用している飲食物を好んで摂る。
- 鎮静剤・血圧降下剤などの化学薬剤を常用している。
- 脂のある肉・パター・マーガリン・べーコン・ピーナツバターなどの油脂食品を好んで摂る。
- ウニ・スジコ・イカをはじめ、すし種になるような生魚をよく食べる。
- コーヒー・グリーン茶などのカフェインやタンニンを多く含んでいる飲み物を常飲している。
- 運動不足、とくに肩関節をあまり動かさない生活を繰り返している。
- 指先だけを過剰に使用している。
- テレビの見過ぎ、車の運転など目を過剰に酷使している。とくに、夜間における目の酷使はよくない。
- タバコの喫煙常用。(ヘビースモーカー)
- 前傾で胸部を長時間圧迫させている姿勢。
- 寒冷大気を長時間吸引している。とくに、就寝時の寒冷大気吸引はいけない。(寒冷地や冷える部屋)
- 車の排気ガス・工場の粉塵・チョーク・汚染大気の常時吸引。
- ネギ・ニンニク・トウガラシ・ワサビなどの辛味食品の常食。
- 慢性の便秘。
- 過飲食。
- 和菓子・洋菓子をはじめ、甘味の多い食品を好にで摂っている。
- 夕夜の冷質飲食の摂取
- 風呂上がりにジュース・ビールなどの冷たいものを常飲している。
- 水分の過剰摂取。
- 夜八時過ぎの夜食。
- 塩分を多く含にだ食品の常食。
- 夏の寝冷え。
- 夜十二時以降の就寝。
- 長時間の立ち仕事。
- 長時間冷房室内での生活。
- 慢性胃腸障害。
- 目上の人や夫婦で反感を持つ心理状態。
- イライラして焦ったり、怒ったりする心理状態。
- 緊張したり、恐怖になる心理状態。
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その他の治療法 |
五十肩は、筋腱が硬結したり、硬化を起こしたりして血行不順になっているので、これを軟らかくさせる治療法であればどんな方法でもよい。、とくに、硬縮している筋肉は温めれば緩むので、温熱治療がもっとも適していろ。もちろに温めるだけでなく、温めながら色々な刺激療法を加えれば、いっそう治癒効果が高くなる。皮下深部組織に浸透度の高いロウ熱灸などは、温熱療法のなかでも非常に適している治療法である。
また、テルミーのような熱器具を用いて脊際中枢部や患部などの表皮に温熱治療を施しても、硬結筋肉が緩にで痛みやしびれが取れて、上肢の可動範囲が広くなる。また、アルコールを用いた温熱的吸角器を用いて、硬結している筋肉に吸圧をかけて、新陳代謝な活発にしてもよい。
その他、整体療法・按摩指圧法・温泉療法など色々あるが、そのなかでも比較的治癒効果の速いのは、摂生をして温熱を加えて針灸療法を行い、仕上げに整体療法を施すと、非常に効率よく治る。
予後指導の一番に大切なのは、まず、原因療法のところで述べているような生活をすることです。とくに、その中でも飲酒や辛味のもの、石灰質が多量に含まれている魚介類を禁じ、体を酷使しないようしなければならない。また、筋腱は冷やすと硬縮を起こして五十肩にはよくないので、体を冷やす質の飲食や外から冷やすような生活を避けさせる。
家庭療法としては、患部を熱湯の蒸しタオルで温湿布しながら、肩関節の回旋運動をさせたり、風呂上がりにぶら下がり体操を勧めることも必要である。ただし、お風呂は「カラスの行水」のような温まり方では、患部筋肉をかえって冷やすことになる。五十肩の人は、比較的心旺体質で暑がりが多く、お風呂に入るのに全身まで温まらないうちに上がってしまい、また、体表が冷たいのに熱感だけが強く感じ、すぐ冷たいものを欲しがるといった例が多い。
ぬるめのお湯にじっくりつかって、頭から汗がダラダラ顔に垂れるまで、温まるようにしなければ、かえって患部が冷えてよくない。心臓が苦しくて全身が温まるまで入浴できない人は、かえって患部を冷やすので、できるだけ入浴はやめ、患部に温湿布を施して、よく深部筋肉に浸透するまで湿布してから回旋運動をするとよい。
また、夜中に寝てから痛みを発する人は、患部にホットパックを当てて寝るとよい。できるだけ肩関節を固定させないために、平素アイロン体操して、絶えず患部の代謝を外から助けるのも一法である。
小林三剛:東洋医学入門より
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