■食べ物と漢方
主食と副食
病気と食べ物
偏食について
旬の食べもの
幼年期の食事
少年期の食事
青年期の食事
中年期の食事
老年期の食事
飲食の量
飲食の時間帯
■睡眠と休養
睡眠の時間
季節と睡眠
■過労と病因
■薬膳の話し
■民間薬と漢方
■漢方薬の安全性
■漢方薬の豆知識
■舌診と漢方
■東洋医学入門
■免疫と食事
■免疫と漢方薬
■免疫の仕組み
■免疫力を高める生活
■牛黄1
■牛黄2
■鹿茸
■水毒の話し
■体温の話
■循環障害とお血
■店舗紹介
■ご相談の方法
■漢方Q&A
■宅配のご案内
■当店の治療方針
■漢方処方解説
■漢方薬参考資料
■漢方薬電子辞書
■八蒙会会員
■四柱推命無料鑑定
身近にある食べ物が漢方薬の原料です。
■牡蠣肉エキス
■味覚障害
●スポニチ記載
●漢方雑誌サライ記載
●薬局新聞記載
|
|
●五行の法則
五行の成り立ち
五行の「行」とは"めぐり"という意味である。したがって、五行とは"五つのめぐり"ということになる。これは、陰陽論の第四定式で述べた陽遁・陰遁の働きを、さらにそれぞれ二つに割って四つの働き木・火・金・水とし、それに土の働きを加えて、五つの働きとしたものである。土の働きは、この五行論ではじめて積極的に展開されており、五行論を特色づけている。そこでまず、木火金水の成立を説明し、それから土の説明に入って、五行の成立を述べることにしよう。
◆木火金水の成立
陰陽論では、万物が生長→発展→成熟→衰退→消滅の過程をたどる運動体でることを述べた。これは、統一体を構成する陰陽の量的割合がたえず変化することによって行われ、その変化には、陽が増大する陽遁と陰が増大する陰遁があった。
万物の盛衰変化は、陽遁・陰遁の働きによっているのである。たとえば、植物は陽遁の働きによって発芽し、繁茂し、陰遁の働きによって枯れていく。また、ボールが上に飛ぶのは陽遁の働きであり、下に落ちるのは陰遁の働きによる。この陽遁・陰遁の働きをさらに細かく分解して示したものが、木火金水の働きである。これを図解して示すと、次ぎようになる。
《木気》
陽遁の生成・発展、他方における陰遁の衰退の働きをする。これによって陰陽からなる統一体は、陽的側面を増大させ、陰的側面を衰退させる。したがって、陽が主になってできているものは生成・発展し、陰が主になってできているものは衰退する。四季の働きでいうと、春の働きである。冬の寒さによって凝固していたものが、春の加熱の暖気によって溶解・膨張し、発芽・成長していく。全閉から全開にいくまでの半開作用である。この季の地上の象微は、発芽・伸長する草木類の姿である。ここから、「木」という符号が取られた。
《火気》
陽遁の成熟と、陰遁の消滅の働きをする。陽が主になってできているものは成熟し陰が主になってできているものは消滅する。四季の働きでいうと、夏の働きである。春の加熱暖気がさらに加熱されて、一年では最高の暑さに達する。いままで発育過程にあったものは、最大の姿に成長し、開大する。全開作用である。今の季の象徴は、暑熱であり、太陽がいちばん大きく感じられる。この熱気象徴から、「火」という符号をとる。
《金気》
陽遁の衰退と、陰遁の生成・発展の働きをする。陽が主になってできているものは衰退し、陰が主になってできているものは生成¥発展する。四季の働きでいうと、秋の働きである。この季は、気温下降のときで、開大していた草木の葉を枯らし、生気を根のほうに内蔵させ、収斂凝固させる。半閉作用である。この収斂凝固し、固形化させる働きから、「金」と符号づけている。
《水気》
陰遁の成熟と、陽遁の消滅の働きをする。陽が主になってできているものは、消減するとともに、他方で新たな陽の生成を内で準備する。陰が主になってできているものは、成熟する。四季の働きでは、冬の働きである。秋の涼気にさらに加冷して、地上の草木を完全に凝固するとともに、地中の種子に内燃性を与えて、生命の核を内に保つ。全閉内燃作用である。この季の象徴は何といっても寒冷であり、「水」をその代表として符号にしている。
以上のように、木火金水は、陽遁・陰遁の働きを四つに分けて符号化したものであり、各符号は、それぞれの働きを代表しているものをもってきているのである。
◆土の働きと五行の成立
万物はすべて、時間と場の中におかれている。したがって、それは時間と場をもった存在であるといえる。言い換えれば、万物は必ずどこかの場に属し、その上で盛衰変化をしているのである。場が変わると、働営や性格を変化しまう。たとえば、肝臓に人体の中にあるときと外に取り出してしまったときとでは、まったく働きを異にする。同じ人間でも、職場にいるとき、家庭いるとき、酒場やパチンコ店にいるとき、電車に乗っているとき、外国に行ったときなど、すべて場が変わることによって、位置や役割を変える。ニワトリも卵の中にいるときと、外に出たときとでは違う。このように、万物は場の中にあって、場の影響を受け、それによって働きや性格を規定されている。このことは「万物は場によって作られていつ」ということであある。
人間は、地球という場を抜きにしては生まれてこなかったし、生存できない。肝臓は、人体という場なしにはつくられないし、働けない。赤血球は、血液という場なしにはつくられないし、働けない。魚は、海という場なしには生まれないし、生きられない。ペンギンは南極のような寒い所でなければ生存できない。古代文明は、水と肥沃な土地のないところには生まれない。
五行論は、四季の変化の豊かな所でなければ生まれなかったであろう。巨大なピラミッドも、奴隷を多数使用できる社会でなければ生まれなかった。反対に、原爆やコンピュータは、発展した資本主義社会なしには生まれなかったものである。時代も一つの場である。法律や道徳などは、時代によって大きく変わっている。その他、よく話の中で、「それはちょっと次元が違う問題だよ」などというときの"次元〃も、一つの場である。また、「吉方位をとる」というときの"方位"も、場の働きを利用したものである。
このように、万物は場を母胎として生まれ、場の上で生々営々しているのである。もっと正確にいえば、場によって生々営々されているのである。この"場"の働きを、五行論では「土気」と符号づいたものであるが、この五行論ではじめて独立して取りあげられることになったのである。図の陰陽の成立から知られるように、だれもが所属している最も大きい場(土)は、宇宙そのものである。また、三才の成立からわかるように、地上の万物がすべて所属し、影響をうけている場は、地球そのものである。
この地球大地の働きは、場としての働きをもっともよく象徴しているところから、「土」という符号をとってきている。土の働きの主なところがわかったところで、五行の成立を含め、土の働きをもう少し具体的にみていくことにする。
「一」
万物は、木火金水の四気と土気との交合によって形づくられるため、その内部に木火土金水からなる五系統の構造と働きをもつことになる。五行の成立である。その際、土は母胎として統一体の全体にかかわっている。したがって、木火土金水の五系統はすべて土を素材として成り立ち、土でつくられた上で、それぞれ固有の組織と働きをもつということである。
木火土金水は、すべて土中の木火土金水として存在する。土は、全体であるとともに、また五系統の一つとして存在する。たとえば、肝心脾肺腎の五臓は、人体(脾)を場としてできている。したがって、五臓は、土で
ある脾(肌肉)からつくられており、五臓とは木火土金水の五気が聞借りしているところの人体(脾)の五つの貸間であるといえよう。土は人体(脾)全体であるとともに、また固有の一系統としての脾の消化器系統として存在している。陰経において、土穴が原穴である理由もそこにある。
そのほか、人体の中で体液を場(母胎、素材)としているのが五液(涙・汗・涎・涕・唾)。心を場としているのが五志(怒・笑・思憂・悲・恐)。声を場としているのが五声(呼・言・歌・哭・呻)、そして五音(角・徴・宮・商・羽)。顔面の感覚器を場としているのが五官(目・舌・口唇・鼻・耳)である。人体以外では、植物を場としているのが五穀(麦・黍・粟・稲・豆)。五菜(韮・薤・葵・葱・藿)。五果(李・杏・棗・桃・栗)。色を場としているのが五色(青・赤・黄・白・黒)。動物では五畜(鶏・羊・牛・馬・豚)などである。
土は木火土金水を一つの統一体として統括しているところから、土には平衡作用、中和作用、中庸作用があるとする。しかし、この平衡中和作用は、決して静態的なものではなく、土の変化作用の中での平衡中和作用であり、動態的なものである。統一体は、「生成……消滅」の変化運動をしながら、その中で統一性をいつも保っているのである。土はこのように、変化作用と平衡作用の二重の働きを同時に行っているのである。
「二」
万物は木火土金水の五系統組織からなるが、そのうち木気の働きを強くうけているもの、火気の働きを強くうけているもの、土気の働きを強くうけているもの、金気の働きを強くうけているもの、水気の働きを強くうけているものの五種類の系統に、分類することができる。
「三」
万物は、土を母胎としてつくられ、土を基盤として盛衰し、そして最後に、消滅して土に帰る。土は、母胎であり、基盤であり、墓場である。ここから、土には、万物を生成するとともに殺滅していく変化作用があるとする。これを、一般には「土化作用」と呼んでいる。ひとたび生成・育成したものにとって、土は消滅に向かって変化させる力として作用するのである。また、この土の殺滅と生成の働きは、万物の運動過程の瞬間々々においても作用している。
万物がたえず運動変化するということは、たえずそれまでの動きを消滅して、次の新しい動きを生成しているということである。殺滅と生成の働きは、両者一体となって、万物の運動過程の瞬間々々において作用しているのである。この瞬間多の消滅生成の働きを通して全体としての、「生成→発展→成熟→衰退→消滅」がつくられている。とくに、全体の過程における生成時点と消滅時点においては、土の殺滅と生成の変化作用が強く働いている。以上のように、万物が「生成→発展→成熟→衰退→消滅」の過程をたどるのは、土の働きによっているのである。この働きは、最大の土である宇宙によって、すべての土に与えられている。
「四」
土の働きを、季節の働き、すなわち、地上の大気作用でいうとどのようになるであろうか。地上の四季は、天の四気である暖気・暑気・涼気・寒気プラス地気によってつくられている。したがって、まず天の四気変化からみていくことにする。天の四気は、宇宙を土として、宇宙の冷気と太陽の熱気との冷熱交合によってつくられている。また、四気の間は、四気の特徴が弱くなるため一つの"間"となり、土である宇宙の空無が強く出ている。土である宇宙の変化作用によって、四気変化が行われるところである。
地上の四季は、この天の四気の下降を受けて、大地が地気である土気を発生させ、天の四気と地気である土気とが交合してつくられる。したがって、季節における土の働きの第一は、地上の四季の母胎となることである。たとえば、地上の春は、天の暖気(木気)プラス地気(土気)によってつくられる。
次に、天の四気の間をつないでいた"間"は、地上においては四気の下降が弱まるときとなり、したがって、反対に地気が旺盛となる。天気と地気は、陰陽の関係にあるからである。この地気が旺盛となる期を「土用」と呼んでいる。「土化作用が強く働く」という意味である。いわゆる季節の変わり目で、体調を崩しやすいときである。
立春・立夏・立秋・立冬の前十八間が・土用になっている。したがって、土気は地上の四季変化のすべてに含まれているとともに、四季の間々でとくに強く顕現することになる。実際は、四季変化の瞬間々々において変化用を行っているのであるが、とくに四季の間々は変化が大きいため、強く顕現することになる。
さらに、四つの土用の中でも、陰遁から陽遁の転換点である冬の土用、陽遁から陰遁の転換点で夏の土用は、特に変化の激しい時で、「鬼門」と呼ばれている。とくに夏の土用は、真夏の強い天気に大地が刺激され、濛濛と地気を上昇させるときで、一番土化作用が強い。したがって木・火・土・金・水と五つを並べるときは、土は火の後に置かれ、四季では夏の後に置かれる。また、一年や一日の中で土の旺盛に働く時を一つの代表させるとすれば、夏の土用である長夏と午後である未と申の時間となる。
地上の四季が、天空の四季変化により約一か月半ほどずれてくる問題について触れておく。天の正月は、十二月二十二日ごろの冬至である。然し地上では冬に入ったばかりで、これから春という気配は少しもない。したがって、昔の人は、地上の正月を二月四日ごろの立春としたのである。また、天の真夏は六月二十二日の夏至であるが、地上では七月も終わりから八月にかけてである。このずれを図で示すと、次ページのようになる。
このずれは、天気の作用を受けて地気が上昇し、両気交合して人気が生々営々されるのにかかる時間である。したがって、土用も、天で行われる四気変化の間よりもずれて起こる。また、このずれを方位にとってみると、鬼門の方位、すなわち未・丑の方位となり、地球の自転軸の傾きに近くなっている。地球の乱磁気力が旺盛に働いている方位である。
「五」
一つの統一体は、多重層の土(場)の上に成り立っており、それによって多重層の土からさまざまな影響を受けている。また、土は、それ自身が「生成…衰退」の変化をしている。したがって、万物は、盛衰変化をしている多重層の土の複雑に組み合わさった働きを受けて、生々営々されているのである。たとえば、その中でも我々にとって最も基礎的な土である目本列島や地球が消滅してしまえば、または氷河期がくれば、我々は我々の意志にかかわらず、消滅または衰退させられる。それよりも、もっと小さな土、たとえば住居や職場や部署や教室、さらには同じ部屋の中でも座る場所などが変われば、多かれ少なかれ変化作用を受ける。さらに、ある統一体は、それ自身が他のものの土となっている。このように、万物はお互いに土となり、場の働きを作用し合っているのである。 |
|
|
|