日本中医学院卒業 北京・広州中医学院留学 日本自然療法学会会員 日本薬膳振興協会会員 八面蒙色研究会講師 | ||||||||||||||
年齢に応じた食質 | ||||||||||||||
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幼年期 幼年期、少年期、青年期、中年期、老年期の流年期を五つに分けて、それぞれの年代における食質を簡単にまとめてみよう。幼年期は水子ともいわれる腎旺体で、脾化成長運動の初期で、抵抗力が少なく、害物に対して敏感で、常に消化不良を起こしやすい、難しい時期である。ちょっとの反応も見逃さずに、注意して食べものを与えなくてはならない。 @人工乳より、自然に順応した母乳の方がよい。人工乳は栄養に偏りができ、また、甘味のコントロールがつきにくい。人工的に調節してあっても、その子の体質によって、過不足が異なる。もし、糖質分過剰が起これば、それによって内臓筋が弛緩して、腸蠕動が弱まり、腸内に異常醗酵を起こし、自家中毒となり、毒化した栄養素を吸収することになる。最近、肺炎性の子どもが多いのは、母の肝炎の影響だけでなく、ここにも原因の一つがある。それに較べて母乳は免疫は十分であるし、その子の体質に適した栄養も含有している。 A乳離れした幼児の食質は、あまり五大栄養素にこだわらず、澱粉質を与え、それに植物蛋白を添えれば十分である。カルシウム、ビタミンなどを摂りすぎると、幼児は消化吸収力が弱いので、かえって消化不良を起こして体をこわす。澱粉質は、他の栄養素より消化しやすく、五大栄養素に化す質をもっているので、胃腸を壊さない限り、栄養のバランスは心配ないのである。 母乳より人工乳で育つ子供が多いことも関係しているのではないでしょうか。乳離れした幼児は、先の説明のとおり、脾力、つまり消化器系が未成熟で、不完全な状態の年代です。脾力は肌肉、つまり肉体を形成する働きですから、肉体の成長し終わる二十歳過ぎでないと、完全にならないのです。このように、不完全消化器で五大栄養素を完全消化できるのかということが、この年代の食質の問題なのです。糖質分というのは、いろいろな栄養素に化す質をもっています。水気を受けるとカルシウムに化しますし、木気の酸味を受けるとビタミン類に化します。金気はカルシウムと鉄分であり、土気は糖質化するのです。つまり木・火・土・金・水の気に合って、五大栄養素がつくられていくわけですから、もともとの糖質元祖を摂っていれば、必然的に五大栄養素に化していくだけの順応性をもっているわけです。 病人に何故お粥がよいかというと、お粥は、非常に消化吸収しやすい糖質分で、体内に入って、必要とする栄養素に化しやすいからです。しかし、消化吸収がよいからといっても過食してはいけません。最近は、これが不足だ、あれが不足だと与えすぎて消化不良を起こし、かえって栄養失調している場合が多いのです。乳離れした幼児の食質は、五大栄養素にこだわるよりも、過食させない、よく運動させる、それから精神生活に注意していけば、大体順調に成長していきます。 小さい子どもは甘味のものが非常に好きです。大人があれだけ強い甘味を摂ったら、食傷してしまうと思います。それだけ子どもは糖質消化力を強くもっているのではないでしょうか。動物性食品は腐敗性が高く、人間より強い菌をもっている場合があります。この点から、胃腸の弱い子どもはあまり食べないほうがよいと思います。 過食は絶対に避けなければいけません。幼少期は胃腸の力が未熟で、消化力が少ないのですから、ちょっとの過食でも消化不良を起こしやすいのです。成人(脾旺体)になってしまうと、少しぐらい過食しても平気なのですが、幼少期の過食はもっともいけません。 量の過・不足、質の適・不適の診断法は、実際には難しく、とくに乳幼児は診断しにくいものです。だいたい腹部を診ることによってわかります。腹部が脹満し過ぎているとか、便が硬すぎたり、軟らかすぎたり、臭気とか、色などの便の状態も診断の材料になります。 子どもの病気はすべて腸から発する、といわれていますが、子どもだけでなく、大人の場合もぞうです。しかし、子どもは脾化活動が不完全なので、とくに敏感です。乳幼児は、母親が制限できるのでまだよいのですが、少年期になると、食物のことをあまりあれこれいうと問題が起こるので、いい聞かせて、自覚させるのがよいのではないでしょうか。 |
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