ナポリの心(CUORE DI NAPOLI)

『ナポリカンツォーネ集、ルチアの回想、他全22曲』





ミケーレ・インチェンツォ〔クラリネット〕
リヒャルト・フランク〔ピアノ〕


  1999年3月バチカン放送局にて録音

 1998年、初来日公演で好評を拍したクラリネットのインチェンツォ氏との共演で、1999年の春、バチカン市国にて録音された有名なナポリのカンツォーネとオペラの幻想曲集です。本場イタリアの心地よい演奏をお楽しみください。



1 O'SOLE MIO G.Capurro - E.di Capua (Ed.biderl 1898) 2:50
2 TORNA A SURRIENTO G.B.De Curtis - E.De Curtis (Ed.Bideri 1902) 2:00
3 A MARECHIARE S.DI Giacomo - F.P.Tosti (Ed.Ricordi 1886) 2:40
4 REGINELLA L.Bovlo - G.Lama (Ed.La Canzonetta 1917) 2:25
5 PISCATORE 'E PUSILLECO E.Murolo - E.Tagliaferri (Ed.Gennarelli 1925) 2:52
6 I' TE VURRIA 'VASA'... V.Russo - E.Di Capua (Ed.Rlcordl 1900) 3:15
7 CORE 'NGRATO R.Cordiferro - S.Cardillo (Ed.Ricordl 1911) 2:23
8 ERA DE MAGGIO S.Di Giacomo - M.Costa
 (Ed.Società Musicale Napoletana 1885)
3:10
9 COMME FACETTE MAMMETA G.Capaldo - S.Gambardella (Ed.Bideri 1906) 1:44
10 DICITENCELLO VUIE E.Fusco - R.Falvó (Ed.La Canzonetta 1930) 2:56
11 DDUIE PARAVISE C.Parente - E.A.Mario (Ed.E.A.Mario 1928) 1:57
12 MANDULINATA A NAPULE E.Murolo - E.Tagliaferri (Ed.Gennarelli 1912) 3:30
13 MUNASTERIO 'E SANTA CHIARA M.Galdieri - A.Barberis (Ed.La Canzonetta 1945) 3:45
14 'O SURDATO 'NNAMMURATO A.Califano - E.Cannio (Ed.Bideri 1915) 1:57
15 '0 PAESE D' 'O SOLE L.Bovio - V.D'Annibale (Ed.Santa Lucia 1925) 2:25
16 MARIA MARI' V.Russo - E.Dl Capua (Ed.Bideri 1899) 1:55
17 PASSIONE L.Bovio - E.Tagliaferri (Ed.La Bottega dei Quattro 1935) 3:28
18 VOCE 'E NOTTE E.Nicolardi - E.De Curtis (Ed.Bideri 1903) 3:36
19 FUNICULI' FUNICULA' P.Turco - L.Denza (Ed.Ricordl 1880) 1:57
20 VERDI-ORSI Fantasia Sull'opera "I Vespri Siciliani" per clarinetto e pianoforte (Ed.Ricordi) 12:51
21 MICHELE INCENZO Fantasia Variata per clarinetto e pianoforte (1994)
I'accompagnamento di pianoforte è stato realizzato da Willy Soenen (Ed.Musica Appassionata)
10:06
22 DONIZETTI-LISZT Reminiscenze per pianoforte sull'opera "Lucia di Lammermoor" (Ed.Dover) 5:19

total time 79:01



 ナポリカンツォーネは、世界音楽遺産の一つとして、益々多くの人々に受入れられるようになってきました。三大テノールによる世界ツアーもこれを広めるのに一役買っていることでしょう。このメロディーは何世代にもわたってナポリの人達に愛されてきました。いわばナポリの人達の心の故郷です。これらのカンツォーネが国を越えて世界中の人々に親しまれるのはその詩が、まだ訪ねたことのない日の光りに輝くナポリの町、また月の光りに照らされる穏やかな海へと私達を案内してくれるからでしょうか。特にメロディーは言葉では言い尽くせない歓びや幸福、嘆きや哀しみをもって心に響きます。カンツォーネ集をナポリ出身のマエストロ、インチェンツォ氏と演奏することは大いにインスピレーションを与えられ、即興で自由にピアノ伴奏しています。オペラ幻想曲は有名な歌劇の主題をもとに即興的に作られています。主題と変奏の形式が多く、器楽奏者はこの作品を演奏することで見事な演奏技術を披露することができます。バッハ、モーツァルト、ベートーベンもこれらを演奏することによって世に認められました。彼等は貴族のサロンで演奏しましたが、後にコンサートホールで演奏されるようになりました。こうした変奏はさらに技巧的になって印刷出版され、誰でも即興なしに演奏できるようになりました。これが音楽市場の始まりです。特にリストの幻想曲は高度なもので、ルチアの回想はリストの十八番で、ヨーロッパ各地でのデビューリサイタルのプログラムに取り入れられました。インチェンツォ氏は、ローマのサンタ・チェチリア音楽院の図書館で、クラリネットとピアノのための幻想曲コレクションを発見。クラリネットのパートはあまりにも技巧的難しいためにこれまで演奏されませんでした。インチェンツォ氏による幻想ヴァリアータも上記の伝統から影響をうけて作曲されています。
1999年7月13日

英子・マノ・フランク





ミケーレ・インチェンツォ(クラリネット)

 イタリア、ナポリで生まれる。サンペトロアマジェラ音楽院を卒業し、早くから現代最高のクラリネット奏者の一人として注目されてきた。コンサートのソリスト、教授、有名なオーケストラの主席奏者という仕事を続けるかたわら、コンクールで数々の受賞、また、ストラビンスキー、ヒンデミット、バーンスタイン、シュトックハウゼンといった現代一流の作曲家自身の指揮の下で作品を演奏してきた。1974年からはローマのサンタチェチェリア音楽院のクラリネット科の教授として迎えられ後進の指導にも熱意を注いでいる。その長いキャリアの中で数多くのレコードやCDをリリース、テレビの音楽放送への協力、音楽雑誌の論説やクラリネット協奏曲の改訂、自作の曲も多い。1998年待望の初来日を果たし、各地で大喝采を浴びた。


リヒャルト・フランク(ピアノ)

 スイス、チューリッヒに生まれる。バルトーク、ブゾーニの高弟、シャイヒェット女史(ハンガリー人)にピアノを師事。チューリッヒ音楽院に学び、ピアノ教師ディプローマSMPV取得。その後、旧西ドイツ国立フライブルグ音楽大学で、ビヒト・アクセントフェルト教授に師事、芸術家資格国家試験に合格して卒業。その後、ジュリアード音楽院に学び、マスターコースでR・フィルクスニー氏に師事。特にリストをライフワークとし1987年リスト協会スイス・日本を設立。世界各国のリスト協会と交流し、リサイタル、コンチェルト、デュオ、室内楽などあらゆる分野の演奏活動をしている。また、夏期国際音楽アカデミーの教授陣として招かれ後進の指導にも意欲的である。ドイツ、アウロホーン社より「リストピアノ協奏曲全集」のCDをリリースしている。