ダイの大冒険に残された謎
ドラゴンクエスト−ダイの大冒険−は全三十七巻をもって完結しました。
しかし、その作品世界には、未だに数々の謎が残っており、あの世界を魅力的にしています。
その謎の数々を挙げていき、考えられる中で考察していきます。
また、意見や私見なども書いていきます。
最終話で、キルバーンの黒の核晶から仲間をかばい、光の中に消えた勇者ダイ。
しかし、彼と命を共有しているダイの剣がまだ生きていることから、ダイはまだ生きていることになっている。
ダイの大冒険の世界が球体惑星上にあるらしいため、公開された世界地図以外の地の存在も考えられるが、
おそらくは天界にいるのではないだろうか。
バランがヴェルザーを倒したときに動いたという天界の精霊たちは、竜の騎士の動きを確実に把握している可能性が高い。
ダイが爆発に巻き込まれる前に、助け出されていることは考えられないだろうか。
しかし、その場合、何故帰ってこないかの疑問が残る。
イレギュラーな存在であるダイを、精霊たちがどう扱っているのか心配である。
地上の遙か下、バーン達魔族の故郷たる魔界は、魔族が何人か地上にいることを考えれば地上とどこかでつながっているはずである。
まず考えられるのが、実はダイの故郷デルムリン島だったりする。
パーフェクトブックによれば、南海の島に入り口があるということになっている。
そして、デルムリン島には、大地へと続く大穴があるのである。(ダイ爆発!に出てくる)
まして、怪物島と言われるこの島である。
現在は封印されているだけかもしれないが、ここから魔界へ行く展開も考えられたはずである。
そして、一体地下何階まであるのかさっぱり不明な破邪の洞窟も、最果てには魔界へつながっている可能性がある。
もう一つ、バーンパレスの天魔の塔最上階のバーンの玉座の裏も、実は怪しかったりする。
奥に何があるか、カーテンで隠されて最後までわからなかったが、バーンが現れるときはここから出てきているようであった。
バーンは魔界にいくつも宮廷を抱え込んでおり(最低でも七つはある)、常にはここにいる可能性もある。
そうすると、あの奥には魔界とつながる旅の扉があったという推論が出てくるのだが・・・。
竜の騎士の母たる存在、聖母竜(マザードラゴン)。
竜の騎士は彼女より生まれ、そしてその死には彼女が付き添い、次なる騎士を生み出す。
しかし、ダイが死んだとき、ダイの身体を連れに来たのは彼女の精神体だけであった。
「今の私には、新たな騎士を生む力がない。ある邪悪な力によって、私の命は尽きようとしています」
と言っている。
ある、邪悪な力とは何なのか。
一つは、天界かどこかに、まだ知られていない存在があるという考え方が出来る。
こうなると、ダイたちの冒険はまだまだ終わらないということになるのだろう。
もう一つ考えられるのは、封印されてなお地上侵攻を諦めない、最後の知恵ある竜、冥竜王ヴェルザーである。
魂は不滅であるという彼ならば、聖母竜を死に至らしめ、その身体を奪い取ることも可能ではないだろうか。
キルバーンの主君である彼の動向は、未だに読めない・・・・。
最後の最後で、その不死身ぶりの理由を明かした死神キルバーン。
しかし、彼がピロロ(区別のためあえてこう呼ぶ)の腹話術で動く人形というだけではどうしても納得出来ないところも多い。
お互いの距離が離れすぎているなどということは、彼の魔力を考えれば問題にならないとしても、
バラン抹殺に向かって、真魔剛竜剣で真っ二つにされたとき、「彼」は確かに自分で考えていた。
しかも、ピロロはその後でやって来て、これを見て驚いている。
また、アバンと戦った後、抹殺完了と考えて自分一人で独り言を言っている。
わざわざ人形の方で独り言を言う必要があるだろうか。
また、ピロロがいる前で、首を飛ばされたときには、飛ばされた首の方が喋っている。
ピロロ本体は、驚きのあまり声も出ていない。
常に完璧な演技をしていた、というだけではどうしても解せない。
かといって、この二人が別々かというと、それがそうでもない。
ハドラーに素顔を見せるとき、驚いているミスト、キル、ピロロの三人に向かってこう言っているのである。
「お前たち二人にしか見せたことのない余の素顔を〜」
バーンは、ピロロとキルが二人で一人であることを知っていたと言うことになる。
これを考えると、キルとは、一つの悪魔の中にある二つの心のうちの一つを、意識だけ乗り移らせたものではないだろうか。
「私たちの友情も、決して偽りのものではない・・・・」
アバンが変身したキルに向かって、ミストが言ったセリフだが、奇しくもこれはキルにも言えたのではないだろうか。
最強無敵の絶対防御「凍れる時間の秘法」をかけられながら活動する、驚異のミストバーン。
メドローア以外の攻撃が一切通じないその状態なら、そのままバーンと合体しない方が無敵のままだったのではないかと思ってしまう。
が、この秘法も、呪法の一種である。解く方法はある。
呪いを解く呪文、シャナクである。
アバカムさえ使えるアバンのことであるから、使えても不思議はない。
シャナクを破邪の秘法で極大化して放てば、多分凍れる時間の秘法でも解けるだろう。
というわけで、バーンに身体を返して正解であったと考えられる。
バーン直属の配下というと、ミスト、キル、そしておまけのようにいるマキシマムぐらいしか作品には出てこない。
バーンパレスにいる残りは、魔界から引っ張ってきたモンスターたちだけである(ゴロアを含む)。
しかし、九十年前にロン・ベルクを引き留めようとする際に、
「いずれあそこに真の輝きを呼ぶ戦いがやってくる。そのときのために、余は一人でも多くの強い男が欲しいのだ。おまえなら、その最強の軍団の指揮を任せてもよい・・・」
と言っている。
最強の軍団とは、どう考えてもパレス外周部を守っていたモンスター軍団のことではあるまい。
しかも、バーンの第七宮廷には、何人もの魔族の侍女がいるので、男の魔族が少ないと言うことはないだろう。
まして、魔界の宮廷を全て放っておいたとも思えない。
バーンの真の軍団は、まだ魔界に存在しているのではないだろうか。
神々が憎いと言ったバーンが、天界を攻めることを企んでいなかったはずはない。
地上殲滅は、腹心の部下とモンスター達、そしてスカウトしたハドラー達で片付け、対天界用の戦力を残していたとも考えられる。
魔界屈指の戦士たちが集まる最強の軍団。
彼らが動き出したとき、何が起こるのだろうか。
バーンが仕掛けた六本のピラァ・オブ・バーンによる、地上消滅計画。
黒の核晶を六芒星に配置して、威力を増幅させ、確実に地上そのものを吹き飛ばす、と言っていたが、
地図と照らし合わせると、これが結構歪んでいたりする。
航空技術を持ったバーンが、この計画に対して正確な地図を持っていなかったとは極めて考えにくい。
どちらかというと、人間の間で流通している地図が間違っている可能性がある。
なぜなら、最後の決戦において、ダイが地上を見下ろすと、大地は球状をしているのである。
にもかかわらず、世界地図は平面である。
図法が何であるにせよ、人間は正確な地図を入手していないということになるのではないか。
知られている地図の外がどうなっているかすら、まだわかっていないのではないか。
そうすると、バーンは、地上の中でも、特に自分たちの地底の上にある領域だけを限定して吹き飛ばすように計画していたのではないだろうか・・・。
大魔王が消えても、モンスター達の多くは消滅しません。
強いていうなら不死騎団と魔影軍団、それから氷炎魔団の一部が消滅するくらいで、百獣魔団を構成していた怪物たちは邪悪な意志から解放されただけで
依然として地上で暮らしているでしょう。
人間と怪物とは、変わらず同じ世界に居続けることになります。
大魔王存命のころ、レオナ姫救出記念パーティーの場にクロコダインだけは参加しませんでした。
大魔王の意志とは別の明確な意識を持っている彼には、人と怪物とが争ってきた過去が解っているのでしょう。
それが故に「怪物が人間と酒を飲むわけにも行くまい」という言葉に現れているのでしょう。
そんな彼に酒を持ってきたのはバダック爺さんと、それからパプニカの一般兵です。
バルジ島の戦いを一緒にくぐり抜けた爺さんだけではなく、一般兵までもが「姫の恩人に乾杯」と言ってくれたとき、彼はどれほど嬉しかったことでしょう。
もしかしたら俺は人間と共に生きていけるのではないだろうか、そんな風に思ったのかもしれません。
バラン戦の後、彼はパプニカに滞在してパプニカの警備隊長とも言うべき役目を努めていたようです。
おそらくはレオナの指示もあったことでしょうが、特にこの人事に関して異議を唱える者もいなかったようです。
ベンガーナ戦車隊長アキームらにしても、一応は魔物であるクロコダインを見ても胡散臭そうな顔をしたものの特に敵意を示してはいません。
この辺はクロコダインの威厳というか風格も大きかったことでしょう。
その後の一件後、アキームらはクロコダインとも友好的になります。
もっと極端な例は、空手ネズミのチウでしょう。
元々は悪いモンスターで付近の町を荒らしていた彼をブロキーナがとっつかまえて修行させ、大魔王の意志を跳ね返せるにまでなりました。
そうして彼は、まあ、マァムという同伴者はありましたが、堂々とロモス武術大会の予選に参加しています。
曰く「モンスターは出場してはいけないなんてなかったぞ」です。
確かにその通りなのですが、かつて百獣魔団の一斉攻撃で多大な被害を出したロモスの対応としては非常に寛大なものと言えるでしょう。
シナナ王がクロコダインのその後についてレオナから連絡を受け、モンスターに対して融和政策をとっているのかも知れません。
でなければ、観客席の隣りにモンスターがいて、みんな平然としているという状況にはならないでしょう。
この直後にザムザが出現して「魔王軍だあ〜!」の悲鳴と共にみんな逃げ出していることを考えると、どうやら人々の間では通常のモンスターと魔王軍との間に区別が出来ていたようです。
もちろん、チウがそれを証明するような勇敢な戦いを見せたことも理由の一つに上げられるでしょう。
ロモス武術大会の猛者どもがみな、彼を認めたのですから。
しかし、最終的にはどうなったのでしょう。
最終話においては、ダイの剣が飾られている岬の光景にブラスが登場しています。
大魔王が滅んで邪悪な意志がなくなったために、デルムリン島から出ても大丈夫になったことがこれで分かるのですが、
しかし、その後のキャラクターたちを見るとそのままとは行かなかったようです。
魔族であるロン・ベルクはノヴァの弟子入りを受けそのまま、魔族とのハーフであるラーハルトはヒュンケルと旅を続けているようですが、
チウ、ヒム、そしてクロコダインはブラスと共にいる……これはつまりデルムリン島に住んでいるということのようです。
対立することこそ無かったものの、結局は地上は人間のものということになってしまったのでしょうか。
モンスターたちは人間と共存ではなく、棲み分けることしか出来なかったのでしょうか。
それは、第三、第四の魔王が出現する余地を残してしまったということではないでしょうか。
マァムの父であり、アバンの最も古い友であった戦士ロカ。
元々はアバンも属していたカール騎士団の団長を務めていて、フローラの側近の一人でもありました。
ハドラーとの第一戦を経てアバンが旅立つとき、その最初の仲間して魔王討伐の旅に出ました。
一度凍れる時の秘法の直前に、マァム出産のために妻レイラにつきそって(?)バーティーから離脱しますが、
一年後の地底魔城における最終決戦にはマトリフ、レイラとともに参加しています。
直情的な熱血漢で、マトリフをして「いい奴」と言わせる男だったようです。
だがその彼は、十五年後の地上には存在していません。
マァムが「死んだ父さん」と言い、マトリフが「アバン、ロカ、いい奴はみんな死んじまって……」と言っているところから考えると、
死んでしまっているというのはかなり明確なようです。
いつ、どうして、彼が死んでしまったのでしょう。
マァムが「父さん譲りの力」とか言っていたり、「死んだ父さんはアバン先生と一緒に魔王と戦ったんだから」と確信を込めて言っているあたり、
マァムが物心ついた頃にはまだ生きていたようです。
一方で、マァムの武道の基本は五年ほど前にアバンが訪れたときに習ったものなので、それほど長い年月マァムと一緒にいられたわけでもないようです。
ロカが生きていたら、そう言ったことの基本くらい教えていそうなものですから。
彼が死んだのは、七八年前、というところが妥当でしょう。
ではどうして死んでしまったのか。
この世界には回復呪文があると言っても、いくつかの難病は未だに克服できていないようです。
ただし、マトリフのような魔術の後遺症といった、かなり特殊な例に限られるのも事実でしょう。
それと、テラン王フォルケンのような高齢によるものくらいです。
それ以外で病に苦しんでいる人というと……ブロキーナは外しておきましょう……。
まして直情熱血、常に肉体を鍛えていそうなロカが、そんじょそこらの病気にかかるというのも考えにくい話です。
それに、その死が未だに謎に包まれているということも問題です。
病死であればここまで謎に包まれているものなのでしょうか。
そうなると、事故死、戦死の可能性を考えなくてはなりません。
ただ、戦死というのはこれもまた考えにくい要素です。
カール騎士団長というのは地上でも屈指の戦士です。
一例がありますので挙げましょう。
現大戦時のカール騎士団長ホルキンスは、剣術のみにおいてなら超竜軍団長……いや、竜の騎士バランと互角に渡り合ったそうです。
その強固な騎士団の人材は、当時から受け継がれたものであるはずでしょう。
そうするとロカの戦士としての実力は、呪文などを省けばアバンと互角以上であった可能性が高くなります。
考えられることは、マァムかレイラ、あるいはネイル村を救うために何か起こったのではないかということです。
事故か……いえ、ただの事故なら解決できそうな人間は地上に多くいます。
それとも……、何か強大なものと契約せざるを得なかったか。
いなくなったことを死んだと解釈せざるを得ないようなことが。
天界の精霊達が優秀な戦士である彼を招聘したと言う可能性も考えられますし、
……最悪の可能性を言えば、魂を消されてバーンあるいはヴェルザー配下の戦士団の一員になっている可能性もあります。
マァムは、彼の死によって生かされているのでしょうか……?
ダイの大冒険の世界の神は三人いると言われています。
すなわち、魔族の神、人間の神、竜の神。
彼らが世界を作りたもうたばかりの時代は、この世界は人間と魔族と竜とが覇権を争っていたと言われています。
ここで、神々がそれぞれの種族を生み出したのかどうかは明らかにされていません。
もしかしたら、この種族が先にあって、この世界はあとから出来たのかも知れません。
少なくとも正統なる竜の騎士であるバランですらそのあたりは知らないようです。
この三種族の戦いを疎ましく思った神々は世界を粛正するものとして竜の騎士を生み出しました。
いずれかの種族が野心を抱き、世界の覇権を手にしようとした場合にはそれを滅ぼすことを定められたのです。
おそらく、このときに同時に聖母竜マザードラゴンも生み出されたのでしょう。
ですが、不思議なことに神々は地上を人間に与えました。
魔界最強と呼ばれた大魔王バーンがそれゆえに神々を憎み、地上を跡形もなく消し去ろうと準備を始める前ですから、数千年は昔のことです。
その理由は、バーン曰く「人間が我らより脆弱であると言うだけの理由」と呼ばれてます。
それ以外の種族……魔族と竜が不毛の魔界を故郷とさせられ、二種族の覇王たるバーンとヴェルザーが表面上とはいえ結託したことから考えると、その言い分はそう間違っていないようです。
そして、地上の平和は今なお神々の力によって守られているとバーンは言っていました。>参考「太陽を我が手に」
しかし一方でヴェルザーは竜の騎士と天界の精霊たちを「神々の遺産」と言っています。
またバーンも神の涙と竜の騎士を「神々の遺産」と呼んでいました。
遺産、ということはすなわち、神々は既にいないということになります。
ここでそれぞれの神がどれくらい影響を及ぼしているのかを調べてみますと、テラン王国で竜の神が信仰されている以外は基本的には人間の神が信仰されています。
また、レオナ姫が蘇生呪文”ザオラル”を使用するときには神に対して助力を仰いでいますし、
パプニカにはサミットの会場にもなった大礼拝堂が存在します。
また、大魔宮での絶体絶命の危機においてハドラーは人間の神に祈っています。
これらから考えますと、神々への信仰はそれほど薄らいでおらず、いくつかの高度回復呪文は神の力を受けているということになり、
神々は未だに地上に大きな影響を及ぼしているということがわかります。
その一つが神々の力を有した神の涙なのでしょう。
この世界に生きている者たちは、良くも悪くも神を身近に感じているようです。
(続く)
十五年前、魔王ハドラーの地底魔城においてハドラーの間へと続く地獄門の番人をしていた、旧魔王軍最強の騎士バルトス。
彼はハドラーの魔力によって骸骨から作られたアンデッドモンスターですが、ホルキア大陸の一都市を攻め落としたとき、親に見捨てられた赤子を拾い、
ヒュンケルと名付けて育てた人物です。
情愛に満ち、騎士道精神に厚く、旧魔王軍の中でもかなりの重鎮だったようです。
それゆえに、地獄門の戦いでアバンにヒュンケルを託し、それが故に、後で激怒したハドラーに処刑されてしまいます。
このとき、ハドラーが言った科白が、
「お前がとんでもない失敗作だからだ!くだらん正義感や騎士道精神を持ち合わせ、人間のような情愛にうつつを抜かす!」
そして、最後に、「新たなる魔王軍では、お前のような不良品は絶対に作らん!」と叫び、バルトスに致命傷を与えて去ります。
しかし、その十五年後、ハドラーが最後に得た最高の部下たち、ハドラー親衛騎団は、まさにこのバルトスの生まれ変わりのような意識を持っています。
無生物に命を与える禁呪法は、作った術者の精神的影響がモロに出るそうですが、これは、不死怪物の作成に関しても同じなのではないでしょうか。
アバンが後に言っていました。
「あのハドラーも、かつては残酷な男でした。人間たちにひどい事をしました。でも、彼はまだ自分の手でそれを行っていた。
私と戦う時にも常に自ら戦線におもむいてきたものです。(中略)戦いの最低限のルール、それは戦士としての誇りです。ハドラーには、まだそれがあった・・・」
そう、あのバルトスの心こそ、ハドラーが常に失わずにいた誇りが結集したものだったのではないでしょうか。
そのバルトスの子供ヒュンケルと、ハドラーの生まれ変わりとも言える兵士ヒムが深い友情で結ばれたのは、偶然ではなかったのかもしれません。
後の魔軍司令官ハドラーが、十五年前に世界を席巻せんと築いた旧魔王軍は、どうやら全体の戦略から前線指揮までほとんどハドラーが一人でやっていたようです。
ハドラー自身の腹心と呼べるような将はおらず、カール王国襲撃にしても、凍れる時の秘法を受けた決戦のときも、彼は配下のモンスターを引き連れて自身が先頭に立っています。
彼は魔法の筒を好んで使っていたようで、これにより、かなりの拠点攻撃が可能でした。
ただその割には、ハドラーの部下にはまともに会話の出来る者がずいぶん多かったようです。
地獄門の番人であったバルトスは、不死生物ながら高い知性と優しさを持っており、
魔界の怪物のつまった魔法の筒を手渡されるほどだった鬼面導士ブラスは実際に魔王時代のハドラーをよく覚えているほどの側近だったようです。
また、地底魔城警護のモンスター達は下級のアンデッドに至るまでほとんどが会話できたようです。
なぜなら、アバンたちが攻め寄せてきたときに、バルトスに向かって死霊の騎士が報告しているのです。
それに、わざわざ地底魔城に観客席を設けてあることからも、魔物達を楽しませたという状況がうかがえます。
ところが一方で、ハドラーと同族である魔族は一人とて見あたりません。
また、悪魔属も一体も見あたりません。
このあたりに、ハドラーが地上制覇を目指した理由が隠されていそうなのですが・・・。
旧魔王軍を形成するモンスター達は、主に後の百獣魔団と不死騎団となるモンスターが占めています。
魔獣たちは実際に地上で生活していますから集めればよいし、侵略する方としては不死怪物は侵略と軍備増強を一手でできる手段です。
当然と言えば当然でしょう。
その他には、巨人系のサイクロプスと、ドラゴンを引き連れたこともありました。
また、対アバン用の最終兵器としてキラーマシーンを作っていたようですが、これは本拠地防衛用だったようです。
というのは、ホルキア大陸で発見されているのでなければ、バロンが使えたはずがないので。
ハドラー軍団配下のモンスターを種属ごとに挙げていきますと、リカント、オーク、サーベルウルフ、コング、グリズリー、
マタンゴ、キメラ、バピラス、ヘルコンドル、マンイーター、人面蝶と、魔獣系が続きます。
それから、ゴーレム、フレイム、マミー、ガイコツ剣士、死霊の騎士といった非生物系がありますが、こちらの方が少ないようです。
基本的に、不死怪物とオーク、サイクロプスが地底魔城の警護でした。
ダイの大冒険目次に戻る。
DRAGON QUESTの世界に戻る。
夢織時代の扉に戻る。