のべ竿で楽しむ小アジの一本釣り


ハローフィッシング
2004/8/19号掲載


梅雨が明け、子供たちの夏休みが始まる頃、私は決まって馴染みの波止へ小アジの一本釣りに出かける。小アジと言えばサビキの数釣りがポピュラーだが、そこを敢えてノベ竿のウキ釣りで一匹ずつ釣り上げるのが楽しいのだ。

相手は手の平に収まるほどの豆アジだから、チヌやハネ(フッコ)のような強引は到底望めない。だが、その引きを最大限に味わいたいならタックルをターゲットのサイズに合わせてよりライトにすればよいわけだ。

私の一本釣り用の竿は、川のハエ釣り用の4.5mの細竿だ。道糸は0.8号、ハリス0.6号にソデバリの4~5号。これに手製の10cmほどの棒ウキとオモリ、ガン玉を付ける。糸はもっと太くても大して関係なくアジは釣れるのだが、そこが一本釣りのこだわりだ。

エサはサシアミで、バケツのアミエビをシャクで撒いてアジを寄せる。周りにサビキの釣人が多ければ、アジの群れは寄ってくるのでマキエは別にしなくても構わない。元気いっぱいの小アジたちだからアタリはすこぶる明解、ウキがほぼ真下に一気にツイと引き込まれる。ひと呼吸おいてソフトにそっと竿先を返してやると、細竿がかなり大げさにひん曲がる。どんな大物かと周囲が注目する大げさなやりとりのなか、ヒョイと手元に飛び込んだのは7cmほどの豆アジ一匹。

周りでサビキをしている人たちは3連、4連と金属片のように光る小アジを次々に抜き上げている。もちろん数と効率ではサビキ釣りにはかなわない。そんな中、黙々とウキをにらみ、アタリをとりながら一匹ずつ丁寧に釣り上げていくのだ。

場所、時期によってはアジの他にも小サバやカタクチイワシなども混じってくる。アジはたいていそうした群れより下にいるから、アジを狙うなら少し深めにタナを設定するとよい。

釣った獲物は軽く内蔵を出し、カタクリ粉を付けて二度揚げし、ビールのあてに骨ごとバリバリ食べると最高にウマイ。
 周到に計画する大物釣りも楽しいが、無理なく気軽にフラリと出かけてのこんな釣りの世界も大事にしたいものだ。これから秋口にかけてアジのサイズは徐々に大きくなっていく。サビキ釣りに飽きたオトーサン、手軽にウキ釣りの釣趣を味わいたい方にはぜひおすすめの釣りスタイルだ。

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