飾った世界に流されず


納豆がダイエットに効く、と放映した番組の偽証騒ぎが続いている。
この記事を目にした時、私は「ああ、やっぱり・・・」と思い当たった。前々からずっと、どこか胡散臭いものを感じていたからだ。

あの番組で取り上げられたたいていの食品は、翌日スーパーから消える。つまりバカ売れするわけで、以前、広告企画の世界にいた私は、むしろ、大衆を煽動するこのしくみをビジネスのヒントとして活用できぬものかという点を考えたりしていた。

ダイエットに即効な食品なんて存在するわけがないではないか・・・こんな当たり前の事がどうして解らないのだろう?

昔、仕事関係の方で、「“あるある”で言っていた」というのが口癖みたいな人がいた。「テレビで良いと言ってたからそれは正解」という低俗な権威主義的単純さに辟易した私は、彼がそれを話題にするたびに
「ホゥ、それ、また“あるある”で言うてたんですか?」
「そんなにエエなら、そのうち“あるある”に出るかもしれませんなぁ」
と影で揶揄して遊んでいたものだ。

テレビで言うてたから正しい・・・とな?
あのね、じっくり、よぉく考えてください・・・そんなわけないでしょ!?

マスコミから発信される雑多な情報の塊、それを自分なりのフィルターを通した分析力で客観的に評価、判断できないタイプの人は、つまり人生がアブナイ(^^)

私は数年前、熱帯魚飼育の世界にゼロからトライしたが、そのすべての知識をインターネットで手に入れた。
どの世界にもビックリするようなマニアはいるもので、検索の連続で残ったホームページやブログの方々は、メーカーの宣伝や効力を鵜呑みにせず、しっかり自分の手で試し、評価して使い分けている高度な知識を持ったしたたかなアクアリストたちだった。

「これは買って損は無い!」「これはゼッタイに買うな!」
・・・そうした多数の情報を自分なりにかき集め、分析していく。正反対の評価がある商品はメーカーを調べ、さらに複数の評価を集め、「自分の水槽スタイル」というフィルターを通しながら適宜、取捨選択していく。

こうした積み重ねの結果、お陰さまで極めて短期間のうちに、私は一応のアクアリストの顔ができるようになった。ヘタに入門書を買いあさるよりも、はるかに多面的で実践的な最前線の熱帯魚飼育の知識を居ながらにして得ることができた。

また、「2ちゃんねる」もよく活用させてもらっているが、匿名戯言の大洪水の中でキラリと光る金言を見つけ出せる洞察力があれば、あの掲示板は非常に有用な場合がある。どんなにパワフルな情報や知識でも、うわべや目立つ部分だけに囚われてはいけない。重要なのは自力による選択眼を養うことだ。

  目立たぁぬように はしゃがぬように
  飾った世界に流されずぅ・・・

河島英五の「時代おくれ」の歌の一節だ。
・・・エエこと言うてはるわ。



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