本ウェブや短歌誌「心の花」、ブログ等に歌やエッセイを発表しています。

武富純一 [Mail]



定価なく先払いにて保証なく顔も知らない神に手を打つ



たそがれの電車の響きは繰り返す「なに言うてんねん、なに言うてんねん」



ふじ印度アルプス乙女つがる陸奥りんご売場の長き滞在



「ケンちゃん」と呼べば振り向く顔ふたつありて戸惑う子らも母らも



百歳を越えし老人と年間の自殺者数と三万を越ゆ



義母逝きて介護を終えし妻眠る二年半分たっぷり眠る



我が手より三歩駆け出し待っている自動改札茶色い切符



それぞれにしっとり重き思い抱きひとりふたりと立ち上がる影



本当はもっときれいに剥けるけどこの方が父らしいだろリンゴ



こころ病む友へ送りしFAXは「う」と「つ」の間に「ち」と「か」を入れて



「入れてんか」半歩詰めては一人増ゆ梅田地下街立ち呑み串屋



書くほどに心ほぐれて静岡県裾野市茶畑なる住所



「日」の中に0から9のすべてあり一秒ごとの明滅の窓



人の吐く息なぞ吸わず山の吐く息のみ吸うて一日を生く



うつむいて歩むわたしの背中などあるか誰かのアルバムの中







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