4マムシ蝮
別名:ハミ、クチバミ
部位:全体
薬効:強壮興奮、切り傷、腫れもの刺のたったとき
使用法
強壮
乾燥して粉末にしたものには強壮の効があり、一日に3~6gを飲む。また、黒焼きにしたものを一日に3gずつ飲んでもよい。ただし、活動性の肺結核患者が飲むと、喀血を起こしたり熱が出たりするがら、用いないほうがよい。
興奮
マムシの粉末、またば黒焼きには興奮の効がある。適当に飲むと、血行をよくし、冷え症が治り、気力が出るが、量を過ごすとよくない。
切り傷
黒焼きを粉末にして患部に振りかけると、血がとまり、化膿せずにたおる。ただし、入れずみをしたように、黒焼きの模様がなおったあとに残ることがあるので、顔などには用いないほうがよい。三十年ほど以前に、私のところで調剤を手伝っていた青年が、朝鮮人参を刻んでいて、あやまって指先を切り落とした。私は、その指を拾ってつぎ合わせ、マムシの黒焼き、鹿の角の黒焼きと、蟹の黒焼きを等量にまぜた、白州散を粉末のまま。振りかけておいたら、そのままなおった。ただし、つぎ合わせるのが少し曲がっていたために、いまでもまがっている。なお、傷口がよごれているときは、外科的な処置を必要とすることはいうまでもない。
腫れもの
化膿性の腫れものにマムシの黒焼きを内服させると、早く口があいて、膿が出、よい肉が上ってくる。しかし、急性の炎症のある時にこれを用いいると、返ってひどくなるから、注意が必要。私が漢方の研究をはじめて数年たったころ、妻がものもらい麦粒腫になった。私はこれに伯州散を飲ませたところ、たちまちひどく腫れあがって高熱出て驚いた。体力が弱くて、なかたかなおらない化膿性の腫れものに、これを用いるとよい。癰、疔、下腿潰瘍、中耳炎、瘰癧、寒性膿瘍(冷膿瘍)、カリエスなどに、一日量3gを用いるとよい。
刺たったときと
刺がたって抜けないときに、黒焼き2gを、夜床にはいる前に飲んでおくと、翌朝刺が頭を出しているから、引き抜く。 |
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