5ハチ 蜂
別名:スガリ
部位:露蜂房(ヤマハチの巣をいう。これは大きいハチの巣で、家の軒などに作る小さい ものではない)
薬効:歯痛、腫れもの、乳汁不足、膀胱炎、夜尿症、陰萎、やけど、ハチ刺され
使用法
歯痛
虫歯の痛む時、歯が浮いて痛み時に、巣を茶碗に入れて、倍量の水を加えて半分に煮詰め、ぬるま湯にして口に含んでいるとよい。
腫れもの
癰、疔、リンパ腺炎その他の腫れものに、巣を、半分は生のまま、半分はいってまぜ合わせ、一回に3gずつ一日三回飲むと著効がある。
乳汁不足
乳の出の悪いとき、巣の
膀胱炎
膀胱炎、尿道炎などで尿が出しぶり、排尿時に痛むものには、前述と同様に作って、一日9gずつ飲む。腎膀胱結核で排尿痛のひどいものに用いて、著効を得たことがある。
夜尿症
巣の黒焼きを飲む。
陰萎
巣を粉末にし、これにジネンジョヤマノイモの粉末を加えて飲むとよい。強壮強精の効があり、
やけど
巣を黒焼きにして、ゴマ油でねってつける。
ハチ刺され
巣の粉末をゴマ油でねってつける。また、煎じた液で洗ってもよい。
ペニシリンよりも効く露蜂房
蜂の巣は、色々の化膿性疾患の腫れ物に能く効く。蜂の巣といっても、薬になるのはスズメ蜂(ヤマ蜂)の巣である、土蜂の巣でも代用できるが、、その効果ははヤマ蜂に劣ること数等である。
私がこのヤマ蜂の巣を用いるようになったのは、小島蕉園の「蕉園随筆」を読んでからである。蕉園は、この露蜂房が、癰、蝶ばかりでなく、歯の痛みにもよく効くといって、その効力を保証しているので、私もこれを用いてみたところ、一服で痛みがとまり、数時間後には腫れがひくという奇効があった。また一例は乳腺炎で、乳房が赤くはれて痛み、熱も出ていたが、これを夕方飲んだら、九時ごろにはまったく苦痛が去り、翌朝さらに一服飲んで、なおってしまったという。他の一例は、へその下に蜜柑大の
化膿性の腫物ができて寝ていた少年に飲ませたところ、二、三時間後には自転車に乗って走っていた。また一例は、殿部に、握り拳し大の腫物ができ、ペニシリンなどを用いても効がなく、手術をするという直前に、これを飲ませたところ、疼痛が去り、七日間の服用で全治してしまった。まことに驚くべき奇効である。
また、歯槽膿漏に用いてなおったことがある。この場合には、粉末を飲むと同時に、歯みがき粉のかわりに用いた。この粉末は、半分は生のままで粉末にしたものと、半分は少じ焙ってから粉末にし、目のこまかいふる、一を通してかすをとり去ったものとを、等量にまぜ合わせ、一回に3~4gを、一日二回または三回飲む、副作用はまったくない |
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