43クチナシ (アカネ科)
別名:山梔子、センブリ
薬用部位:実(晩秋に取り、七日以上霜に当て、乾燥して蓄える)
薬効:消炎、止血、鎮静、不眠、食道炎、胸痛、胃痛、めまい、口内炎、歯肉炎、扁桃炎、打撲、打ち身、しらくも、頭部湿疹、酒鼻、赤鼻、乳腺炎、抜け毛。
使用法
消炎
炎症をとる効があるので、腫れて熱をもち、赤くなっている、いろ一いろの腫れものに、内服、外用ともに用いる。内服には乾燥した実5~8gを一日量として、煎じて飲むか、1~2gを黒焼きとして飲む。外用は、実を粉末にし、これに等量の小麦粉を加えて、酢で煉ってつける。また、五、六個の実を煮て、汁をとり、とれに小麦粉と卵の白身をまぜよく煉って貼る。
止血
止血作用があるので、鼻血、喀血、痔出血、胃腸からの出血、子宮出血などに実を煎じて飲む。この際、黄連、黄柏、黄芩の三味を等量ずつ、クチナシに加えて煎じてろもよい。また、以上の四味を粉末にして混合、したもの6gを、一日量として飲んでもよく効くものである。
鎮静、不眠
気分を落ちつける効があるので、興奮して眠れないようなとき、実を煎じて飲むとよい。
食道ポリープ、食道炎
これらの病、気で嚥下困難な症状に、実を煎じて飲むと著効がある。食道がんに、クチナシのほか、半夏、乾姜、甘草を加えて用いると、嚥下困難が軽快して、食物がのどを通るようになる。
胸痛、胃痛
胸や胃がつまったように痛むのに用いる。私の経験では、クチナシ4gに、甘草5g、黄連1gを加えたものを、胃潰瘍に用い、即効を得たことが数回あった。
めまい
実の黒焼き2gを、酒で一回に飲む。湯で飲んでもよい。
口内炎、歯肉炎、扁桃炎
実5~10gを一日量として煎じ、うがいをするようにしながら飲む。つまり、一口ずつ口にふくみ、薬液が口内であたたかくなったら飲みこむ。
打撲
実を煎じ、その汁に小麦粉を少し加えて薄くねり、さらに生姜の絞り汁を入れて、患部に貼りつける。乾いたらとりかえる。
しらくも、頭部湿疹
実を黒焼きにし、ゴマ油で煉ってつける。
酒鼻
実と、ノウゼンカズラの花とをそれぞれ粉末にし、等量にまぜ、一日5~8gを飲む。そのうえ、実を粉末としたものを水で煉ってつける。これは、肝斑しみにもよい。
乳腺炎
実の黒焼きをゴマ油でねってつけるか、生の実の汁を絞ぼってつける。また、酢で実を煎じ、その汁で乳房を温罨法する。
抜け毛
大病後に、髪が抜けるのには、実を煎じて飲み、ちまきに用いる。実を煎じ煎じ、その汁でたびたび洗うとよい。
食道ポリープがり消えた例
二十数年前のことである。福岡の薬剤師が、食道にポリープができて、九州大学医学部で手術をしてもらうことになった。ところが、ポリープまで届くハサミがなく、それを作る間、手術を待つことになった。そのころ私が出版した「実験漢方医学双書」に、クチナシの実のはいった。処方が、食道の病気に効く、とあったのを読み、庭先のクチナシの実をとり、煎じて飲んでみたところ、、不思議にも、牛乳がやっと通ったのが、二、三日たつと楽にたり、スーッと飲めるようになり、数日で何ともなくたった。大学でみてもらったところ、もう治っていろから手術の必要はない、言われたとのことである。この話は、そのころの薬学雑誌にのったのを、私の友人が読み、知らせてれたものである。 |
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