42クスノキ楠(クスノキ科)
別名:樟
薬用部位:芽、葉、枝、実
薬効:歯痛、リウマチ、漆かぶれ、マムシの咬み傷。
使用法
歯痛
歯が浮いて痛むときは、出たばかりの芽を取って、陰干し煎じて口にふくんでいると、よくなる。
リウマリ
枝や葉を入れ風呂に入れて入浴すると、リウマチの痛みによく、特に実はよく温めるという。
漆かぶれ
葉を煎じた汁で洗うと、よくなる。
マムシの咬み傷
クスノキのくずを焼いて、その煙をかまれたところに当てる。くわしいことは次の例参照。
クスノキのくずで、マムシの咬み傷をなおす。
これは、四日市の医師、川口三十郎氏が、「東京医事新誌」第一八一号に発表したもの。大要をのせる。私の郷里の和歌山県下、大島浦は、田畑活地にマムシが多く、農夫がその害をこうむることが多い。私の叔父はその地に永住して医を業としているため、そのような患者を診察すると、クスノキのくずを火鉢に投じ、患部をその煙で蒸し、そのあと適当な処置をほどこすことにしているが、軽いものはもちろんのこと、重いものでも危険の症状を続発することがなく、経過順調になおるという。私が郷里にいたときにも、一婦人が足の甲をマムシにかまれて、痛みがひどく耐えられないという。この患者は、かまれた足が全体に腫れあがっており、これまでにあちこちの医者にみてもらって、薬を飲んだりつけたりしたが、ちっとも効がたかったという。そこで私は、クスノキの燥蒸法をしたところ、刺すような疼痛がすぐに去った。二、三回くり返し行たってから、膏薬をはった。これは傷口が空気にふれないためだから、何でもよい。すると、どんどん回復した。その後も、この話を聞いた患者が五名、治を乞うたが、同様の方法でみたがなおった。 |
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