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漢方と民間薬百科:大塚敬節著書(主婦の友社)
か行
1カイコ蚕

別名:家蚕

薬用部位:蚕砂(糞のことをいう)蚕卵紙、白僵蚕

薬効:脳出血、高血圧症、咳嗽、腰痛、歯槽膿漏、乳汁不足、健忘、中風、避妊通経、外科の妙薬、ふけとり。

使用法:
脳出血、高血圧症
蚕砂をガーゼに包み、酒に浸しておき、乾かして粉末とし、一日9~15gを飲む。また、蚕砂を洗ってから日光でよく乾かし、オブラートに包んで飲んでもよい。


咳嗽
せきが出て苦しいときには、蚕砂の黒焼き40gに、蜂蜜を入れて、煉って少しずつなめる。

腰痛
老人の腰の痛みには、蚕砂を持薬として飲む。健忘の効がある。

歯槽膿漏
カイコのぬけ殻を粉末として、これで歯をこする。

乳汁不足
白僵蚕といって、カイコが病気で、白く硬くなって死んだもの10gを一日量として、酒で飲むと、乳の出がよくなる。私の家には、家伝の秘薬として「乳の出る妙薬」がある。これは白僵蚕を材料にしたものである。白僵蚕とは、カイコがある種の菌のために死んで、白くなって強直したもので、俗にオジャリまたはコジャリ、オシャリと呼んでいる。私の家は曽祖父の代から産婦人科専門医だったので、いくつか相伝の秘薬があり、これもその一つで、醸乳丸と呼ばれている。作り方は、白僵蚕を粉末にし、寒梅粉で丸薬にしたもので、この丸薬を、一回に4gずつ、朝夕二回酒で飲むのである。多年の経験では、産後百日以内に飲むことが必要で、効果は十日分を飲むうちにあらわれるから、なるべく産後すぐに飲むとよい。


「炒薬博物」という書物にも、乳汁の分泌を促す法として、次のように出ている。「白僵蚕一匁を粉にして酒で飲む。一服で乳が出なければ二服、三服と飲む。この際、くしで髪の毛を前からうしろに向かって、百べんほどすき上げるとよい。これは、乳房の運動をすることになり、乳揉みにもんでもらったような効果があるわけである」

健忘、中風
蚕砂と言うのは、カイコ糞が砂に似ているところから、名づけたものである。この蚕砂は、中風の子防にも治療にも用いられた。「救民妙薬」という書物には、晩蚕砂(夏のカイコの糞)をよい酒につけておき、それを乾かしてから粉末にして飲むと、中風によくきくとある。また、「独酔医談」という書物には、この晩蚕砂が、神経痛や麻痺に効くので、老人が持薬として飲んでいると、神経痛や中風の予防になるといい、蚕砂を健老薬として推奨している。そこで私は、先年、脳出血で右半身が動かなくなっている患者に、これを飲むことを教えたが、その方法は、蚕砂をよく乾燥してかり粉末とし、これをオブラートに包んで、5~10gを飲むのである。この場合、この患者は、大柴胡湯方の煎じ汁で飲んだ。その結果、その後たいへんよくなって、温泉などへも汽車に乗って出かけられるようになった。


避妊、通経
蚕砂が、避妊薬によいという説がある。「炒薬博物筌」という書物には、懐妊せざるの妙薬として、「蚕砂と牛膝とを、それぞれ粉にして、等量を混和し、月の初めに水で飲む」とある。牛膝はイノコズチの根で、これを一度に多量に飲むと、流産のおそれがあるといわれている。ところで、避妊薬としては、カイコの種紙が有名で、これについては、栗原広三氏が次のように述べている。「蚕卵紙というのは、蚕の卵のカラのことで、昔は養蚕のとき種子紙というものがあった。これを蚕連、または蚕卵紙といいます。これを種子にして孵化させ、蚕の幼虫を生み出します。そこで、残ったカラのついた種子紙を焼いて飲ませると、妊娠しないことがわかっていました。

江戸時代に、米沢の殿様で上杉鷹山という名君がおりましたが、しでにこのことを知っていたのです。当時、間引きと言って、生まれた赤ちゃんをヒネリ殺ししていた残酷さを悲しんで、領民に教えて産児の調節をやったのです。現在では蚕業試験所という官庁で、病菌のない消毒した卵を、ガラスのチューブに入れ、それを養蚕家に渡します。従って、昔のような種子紙はありません。ともかく、養蚕家が孵化させて不用にたった卵のぬけ殻を掃き集めまして、これを焼いて黄色く色のつくくらいにし、一回に2gほど服用するのです。三日もつづけて服みますと懐妊しないで、その翌月の予定日ごろには通経します。私は相当多くの実験例を持っていますが、大体月経が止まってから一ヵ月以内に服みますと、効果は確実です。ある商店の若主人の奥さんが、結婚して二年目に子どもを生んで、一年後に月経が始まったが、間もなく月経がとまりまたまた妊娠したらしいというので、最寄りの産科医で診てもらったところ、やはり妊娠とのこと、いろいろ迷っていましたが、私の話をきいて相談に見えたことがあります。そこでこの蚕卵製剤を試してもらいましたが、七日目に通経したといって大変喜ばれました」

外科の妙薬
蛋砂は外用薬として、いろいろの腫れ物に用いられた。慶長のころの外科に鷹取流という一派があったが、この外科では、蚕砂を材料にした膏薬を作ってはれものに用い、また肉のあがりの悪い傷口につけたりした。また、打撲や、骨折にも、この蚕砂が用いられた。使い方は、蚕砂40gを炒って、これと等量の緑豆の粉末を炒り、さらに、明礬を粉末にしたもの20gほどを加えて、酢で煉ってつける。クロロフィルが、腫れ物や切り傷に著効のあることは、一般に知られているとおりだが、クロロフィルを多量に持っている蚕砂が、こうした方面に用いられたことは、経験によるとはいえ、面白いことである。

ふけとり
「本草綱目」に、ふけをとるには、蚕砂を焼いて灰にして、水に入れてよくかきまぜ、滓を絞りとり、その汁で頭髪を洗うと、よくふけがとれるとある。また、クワの葉とアサの葉とを煎じた汁で頭を洗うと、髪がよくはえるという。近年、クワから作ったふけとりべーラムができていることと思い合わせて興味がある。


蚕砂と乳がん
水戸の名医原南陽に土屋庄右衛門の母が書き送った手紙が、「寄奇方記」という書物に、次のように出ている。「乳癌を療するの方、蚕砂、陰乾しの細末、水にときつけ候てよろしく御座候。十人あまりも直りまいらせ候。必ず必ずよそへ御沙汰なしにたのみまいらせ候」ここに乳癌とあるのは、乳腺炎や乳腺症をさしたもので、ほんとうのがんではあるまいと思う。
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