8アカメガシワ赤芽柏(トウダイグサ科)
別名:ゴサイバアカガシワ
徳川時代の本草家は、アカメガシワに楸の字を当てたので、この時代の書に楸とあるのは、アカメガシワのことをさしている。
▼アカイモ(奈良)アカエ(伊豆諸島)カシワギ(四国九州)カワラカ(ガ)シワ(香川愛媛)カワラクサギナサイモリ(岡山)サイモリバ(高知)ポソガシワ(和歌山)ミソモリヤマギリ(岡山)
部位:葉(盛夏の候にとったものがよく、若葉や老葉は効が劣る)木皮薬効はれもの(櫛・癰・疔)
痔、乳幼児の湿疹(胎毒)乳腺炎、お灸のあとのただれ
使用法
腫れ物
癤、癰や、疔などの打期で、まだ口のあかないうちに、陰干しにした葉100gを1000mlほどの水に入れ、半分に煮つめ、これを一日分として三回に分けて飲む。ひどく衰弱した人や、虚弱な人には効果を期待できないが、体力のある人ならよくきく。早期に用いると、そのまま散る。なお、内服と同時に、この煎汁で患部を湿布すると、いっそうよい。
痔疾
木皮を黒焼きとして、酒で飲むとよいといわれている。葉をせんじた汁で患部を洗って、そのあとへ、陰干しにした葉の粉末をバルサム(医薬に使う軟質樹脂)とまぜてぬる。同時に、葉の煎汁も服用する。
乳幼児の湿疹
俗に頭瘡と呼ばれている頭部の湿疹には、生の葉からとった汁をぬるとよい。
乳腺炎まだ口のあかぬうちなら、葉をせんじ、その汁で温湿布をすると消散する。
お灸あとのただれ
お灸のあとが、おできになり、かゆくて痛み、黄色の汁が出てただれたときには、葉を焼いて粉末にし、振りかけるとなおる。
★江戸時代の話。芝に、痔の妙薬を売る老婆があり、とてもよくきくので繁盛していたが、老婆はその薬の内容は、秘密にしていた。あるとき久留米の殿さまが、その秘方を教えてもらいたいと懇望し、絶対に他言しない約束で、二十金の謝礼を与えてそれを得た。老婆はその後死んだので、久留米侯は、こんなによくきく薬を秘密にしておくべきではないと公開したが、その秘方というのは赤芽柏の葉であったという。
「温知医談」より
★放浪の名医
これも江戸時代のこと。大和出身の人で、癰(ねぶとのかたまったもの)をじょうずになおす名人があった。煎じて薬を飲ませるだけで、外用薬はいっさい用いなかったが、奇炒に即効がある。ところが、放浪ぐせがあり、江戸に来てウロウロしているうちに、借財がかさんで困窮し、ある薬屋が二百金を出してその秘方を買ったが、これもまたアカメガシワで、せんじて飲ますだけのことであったという。「蘭軒医談」より
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