現在,このページは,ストップ状態にあります.有用なエビデンスが集積され, 一定のガイドラインが示されるのを待ちます. サーバリックス/Cervarix(HPVワクチン)について 【1:子宮がん/子宮頸がんと子宮体がん】 子宮がんは、部位により2つに分類されます.子宮体部に発生する ”子宮体がん” と入口に発生する ”子宮頚がん”です. この子宮頚がんの発現に、HPV(ヒトパピローマウイルス)が関与しています. 日本の子宮頚がん発症者は、年間約8000人です.前癌病変を含めると約1万5千人になります. 子宮頚がんによる死亡者数も年間3500人と決して少なくありません. 特に20〜30歳代女性の癌の中で、子宮頚がんは最も有病率が高く,母性機能の一部を失う可能性が大きく、予防と早期発見が大切です. 【2:子宮頸がんの一因は パピローマウイルス(HPV)感染症】 ヒトパピローマウイルス:HPV(Human Papilloma-Virus)は、ヒトの皮膚や粘膜にイボをつくるウイルスです. 特にHPV−16や18などは、発がん性が高く、発がん性HPVと呼ばれています. 発がん性HPVはありふれたもので,成人であれば通常の性生活で少なからず感染します. HPVに感染しても,多くは無症状に経過します.ほとんどの感染は一時的で,2〜3年程度で感染部位からHPVが消失します. HPVがしぶとく持続感染を起こした場合,8〜10年以上経つと,異型上皮に移行します. 発がん性HPV感染者の中で,1000人につき1〜2名が子宮頚がんを発症します. 【3:子宮頸がんウイルスに対するワクチン】 HPVは120種類以上確認されており,悪性度の高い約15種類が発がん性HPVと呼ばれていて,子宮頚がんでは,HPV−16,18の感染が重要です. 20〜30歳代の日本人女性の調査では、HPVが認められた場合の7〜8割は HPV−16か18です. HPVワクチンの接種により,HPV感染を阻止してくれます. 繰り返される再感染や持続感染を予防することにより,女性を子宮頚がんのリスクから守ります. サーバリックスは,HPV−16,18に対する抗体を維持し,将来的なHPV−16,18の持続感染を予防し,子宮頚癌のリスクを低くします. 【4:サーバリックスの接種プラン】 接種対象者:10歳以上の女性. 接種回数 :合計3回 初回,1ヶ月後、6ヶ月後,の3回,上腕部に筋肉注射. 【5:副反応・副作用】 注射部位の疼痛 99.0% ” 発赤 88.2% ” 腫脹 78.8% ------------------------------------------------------------------------ 疲労 57.7% 筋痛 45.3% 頭痛 37.9% 胃腸症状 24.7% 関節痛 20.3% 発疹5.7% 発熱 5.6% 蕁麻疹 2.6% ------------------------------------------------------------------------ サーバリックスには,ワクチン効果を高めるためにアジュバントと呼ばれる”免疫増強剤”が添加されています. アジュバントを含むワクチンは,疼痛・発赤・腫脹など注射接種部位の局所反応が強くなる傾向を認めます. サーバリックスは,やや局所反応が強い傾向にあり,接種後 2日〜数日間,発赤や腫脹が持続します. ショック・アナフィラキシーなど重篤な副反応の発生報告は,通常の不活化ワクチンと同じレベルです. 【6:定期健診を忘れずに】 サーバリックスは,HPV−16,18に対して,極めて有効に免疫を誘導しますが,他のタイプの発がん性HPVに関して有効性は確立していません. HPV−16,18以外にも”発癌性HPV”は確認されていますので,ワクチンでカバーできないHPV侵襲による異型性・前癌状態も認められます. とくに年齢が高くなるに従い,HPV−16,18以外の発がん性HPV感染機会が増加します. 結果的に,サーバリックスによる頚癌発症の予防効果は,6〜70%と考えられています. サーバリックス接種後であっても,婦人科健診を定期的に受診してください. 【7:ご注意】 前癌状態や子宮頚癌を発症している場合,また,すでにHPV-16 18に感染されている場合, サーバリックスによる効果はありません ------------------------------------------------------------------------ 【8:接種費用】 柏原市では,中学1年生から高校1年生までの4学年に公費助成され,無料で接種できます. それ以外の世代には適応されませんので,ご希望の方は,1回15750円 (消費税込),3回の接種で 47250円(消費税込)です.
※ ガーダシルは,効果が同等で,コンジローマの予防効果もありますが,当院では,サーバリックスと混同などのミス防止のため 現状,採用しておりません.
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