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  3. 授業例
  4. 日時計の製作
  1. 授業科目
    • 1997年度3年次の地学ⅠB(2単位)
    • 太陽の運動と時間に関連して9~11時限(製作のみ)
  2. 授業内容
    • 本授業の前(1学期)
      • 天球と星の動きについて天球儀を使わせながら説明した。
      • 日時計の原理について説明した。
      • 太陽や星の動きと時間の決め方、均時差と協定世界時について説明した。
    • 本授業(2学期前半)・・・具体的方法
      • 生徒に班をつくらせた。1人で一つの班でも可とした。
      • 各班で水平型日時計と赤道型日時計のどちらを製作するか相談させた。
      • 各班に1枚の板を与え、日時計を作らせた。生徒が必要とする工具や材料はできるだけ用意した。
      • 目盛りは下書きをしてからペンキで書かせた。
    • 本授業の後(3学期に1時限)
      • 各班が製作した日時計を用いて、晴れた日に屋上で時間を測定した。・・・測定風景
      • 測定した時刻に補正を加え日本標準時になおした。
      • 求めた日本標準時を電波時計の時刻と比較した。
  3. 評価の方法
    1. 日時計の作品点・・・100点
      • 正確さ     ・・・60点
        1. 目盛りの正確さ     ・・・20点
        2. 時刻補正表の正確さ   ・・・20点
        3. 取り付けの正確さ    ・・・20点
      • 全体的な出来映え・・・40点
        1. 取り付けの強固さ    ・・・10点
        2. 目盛り線と影の重なり具合・・・10点
        3. 全体的な工夫      ・・・10点
        4. ていねいさ       ・・・10点
    2. 製作への寄与度

      班での製作のため、各生徒が製作に参加した割合を評価に反映させた。

      製作に参加した授業回数 / 全授業回数

    3. 最終的な評価・・・100点

      日時計の作品点 × 製作への寄与度

  4. 授業の結果
    • 目盛りをつける際に太陽の動きを考える必要があり、天球を内側から見ることができるようになった生徒が増えた。
    • デザインなどいろいろ工夫をこらした班があった。
    • 男子も女子も楽しんで工作をしていた。
    • 班の中でお互いに不明な点を相談しあって解決していく姿勢が見られた。
    • 班の間でよりよく作ろうという競争心が見られた。
    • 工作道具の基本的な使い方を知らない生徒が非常に多かった。特に糸のこの使い方(のこ刃の取り付け方など)を知らない生徒が多かった。
    • 日時計で時刻を測定している間に動いていく影を見て、理解が深まったようである。
    • 日時計で時刻を測定するときに、北の方位(日時計を設置するために必要となる)を見つけるのに生徒は苦労していた。磁針の指す向きと偏角の関係が十分理解できていなかった。
    • 日時計について、説明・製作・測定とかなりの時間をかけた。日時計以外についてもその間に多くのことを学んでくれたと期待したい。
  5. 今後の課題
    • できあがった日時計を使用したのが1時限だけで、製作に要した時限に比べると少なかった。もう少し日時計の利用を考える必要があった。
    • 日時計による時刻の測定が3年の3学期となり、授業回数が少ないうえに天気も悪い日が多く、曇りがちの天気でも測定せざるをえなかった。測定にもう少し時間的な余裕がほしかった。できれば季節による影の違いなども観測したかった。
    • 水平型日時計の目盛りが難しいので教師が計算した表を与えたが、生徒はほとんど理解できていなかった。
    • 屋外に取り付けるのを目標にし、目盛りをペンキで書かせたので時間がかかった。また、根気がない生徒の班は目盛りが汚くなった。ペンキで書かせる必要はなかったかも知れない。
  6. 参考文献
    • 歌代 勤,倉林三郎 編,"理科実験指導シリーズ 地学",pp.100-107,講談社(1985).
    • 地学団体研究会 編,"自然をしらべる地学シリーズ1 星と天気",東海大学出版会(1982).
    • 大金要治郎,"新版地学教育講座11 星の位置と運動",東海大学出版会(1994).
    • 小尾信彌,吉岡一男,"三訂版 太陽系の科学",放送大学教育振興会(1995).