泥水の浄化 実験方法
−1時限目−
2時限目にすすむ
実験準備
- 泥水(約 80 cm3 の水に土を薬さじ 2 杯分程度混ぜたものを 100 ml ビーカーに入れておく)
- 活性炭(薬さじの小さじ 1 杯を薬包紙に包んでおく)
- 砂ろ過装置
- 図1のようにガラス管に砂や礫(れき)をつめる。砂や礫はふるい(孔径 1 mm と 2 mm )にかけたあと水洗しておく。なお、下部には水の出口がつまらないように粒径の大きな礫を入れておく。
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図1 |
- ビーカー 100 ml 2(一つには泥水が入っている)、ロート、ロート台、ろ紙、ガラス棒、サンプルビン(容量 10 cm3 )
実験方法
- デカンテーション
- 実験方法
- 泥水をしばらく放置して浮遊物質を沈降させる。次の砂によるろ過では上澄み液を使用する。
- 実験上および生徒指導上の留意点
- 泥水を準備してからの時間経過により、実験開始時には泥水に含まれているもののうち粒子径の大きいものがすでに沈んでいるので、かきまぜないようにする。かきまぜてしまうと再び沈降するまでに時間がかかる。ここでできるだけ多くの浮遊物質を沈降させておかないと、後の実験を行いにくくなる。
- 砂によるろ過
- 実験方法
- 図2のように砂ろ過装置の上から泥水の上澄み液を入れ、下から出てくる水をビーカーにとる。
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図2 |
- 実験上および生徒指導上の留意点
- ろ過の効果を得るためには、下からポタポタと出てくる程度にゆっくりと液を加えていかなければならない。ここで浮遊物質を十分取り除いておかないと、次のろ紙によるろ過に時間がかかる。また、砂ろ過装置の外側を伝わって流れ落ちてくる液が下で受けているビーカーに入らないように注意する。
- ろ過をしているとすぐに目詰まりが起こるので、上部の目詰まりを起こした部分を取り除く必要が出てくる。この目詰まりを取り除く作業を行うことで、生徒はろ過の意味を理解しやすくなったようである。
- ろ紙によるろ過
- 実験方法
- 実験上および生徒指導上の留意点
- ろ紙の折り方や使い方などのろ過操作1)について、生徒に対して十分な説明が必要である。中学時代の実験経験の有無によって生徒の学習レベルに差があり、使用方法を誤って覚えていることもある。例えば、ろ紙を円錐状に折るときに、ろ紙に切れ目を入れてしまう生徒がいる。
- ろ紙もすぐに目詰まりしてしまうので何度もろ紙を交換しなければならない。この作業を行うことで生徒はろ紙の使い方に慣れてくる。
- 活性炭による吸着
- 実験方法
- ろ紙によるろ過後のろ液に活性炭を薬さじの小さじ 1 杯程度入れ、よくかきまぜる。その後、活性炭をろ過して取り除く。ろ紙を交換せずに、活性炭が残っているろ紙上にろ液をもう一度注いでろ過を繰り返す。
- 実験上および生徒指導上の留意点
- 活性炭をろ過した後、ろ紙を変えずに活性炭をろ紙上に残したまま再度液をろ過して吸着させるのが透明度を上げるポイントである。活性炭に一度吸着させただけではかなりの濁りが残ることがある。
- 活性炭を入れた後、十分にかきまぜない生徒がいるのでアドバイスが必要である。透明になった水が黒くなるため、かきまぜることに対して心理的な抵抗が生徒に見受けられる。また、ろ紙によるろ過の実験後、器具を洗わずに使う生徒が多いので、ロートなどの器具は使用する前に洗うように指導する必要がある。
- 浄化した水の保存
- 実験方法
- 2時限目の実験に使用するため、サンプルビン(容量 10 cm3 )に浄化した水を入れて保存する。
参考文献
1.化学同人編集部編,「続・実験を安全に行うために」,化学同人,pp.39-40 (1980).
生徒向けの説明
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