フランツ リスト: ピアノ協奏曲全集

『第1番、第2番、遺作品、コンチェルト・パテテイック』





F・リスト:ピアノ協奏曲全集
『第1番、第2番、遺作品、コンチェルト・パテテイック』
R・フランク〔Pf〕
R・H・ベーカー〔指揮〕
セゲットシンフォニックオーケストラ〔ハンガリー〕



Concerto Pathétique(G.Darvas) 19:39

1. Allegro energico-patetico-Agitato-Grandioso 4:50
2. Quasi Fantasia-Andante sostenuto 6:15
3. Allegro agitato assai-più moderato-piu mosso 3:28
4. Andante,quasi Marcia funebre 4:02
5. Allegro trionfante 1:00


Piano Concerto No.1 in E flat major 19:08

6. Allegro maeatoso. Tempo giusto 5:40
7. Quasi Adagio 4:35
8. Allegretto vivace-Allegro animato 4:11
9. Allegro marziale animato 4:46


Piano Concerto No.2 in A major 21:30

10. Adagio sostenuto assai 5:20
11. Allegro agitato assai 2:00
12. Allegro moderato 5:00
13. Allegro deciso 3:10
14. Marziale,un poco meno allegro 5:50


Piano Concerto Op.posthum in E flat 15:45

15. Andantino-Rezitativo del pianoforte 2:14
16. (Allegro)-(Tempo primo) 3:26
17. (Andante) 4:50
18. (Tempo primo)-(Allegro come prima) 2:00
19. Allegro vivace 3:10

total time 77:25



フランツ リスト: ピアノ協奏曲全集

 リスト作品に取り組んでいますと、今まで余り知られていない作品や、最近出版された作品に出会うと言う素晴らしい魅力があります。近年、ピアノとオーケストラのための作品が2曲同時に、一般に入手可能になりました。それでピアノとオーケストラのための作品数は、増えて全部で11曲を数えます.このCDでは、リスト自身が、(協奏曲)と題した作品を集めていますので、ピアノ協奏曲全集と言うことになります。大胆な手法で新世界に向かって進むリストは11の作品群の中で、形式や表現様式のあらゆる可能性をデモンストレーションしています。伝統的手法で作曲されたピアノ協奏曲の分析は、作曲家にとって新たな方向への挑戦となりました。新しい試みも、音楽形式の立場から正当と認められなければなりません。そのためには、予想もしなかった可能性までも実現化してしまうということでした。リストは、実際これらのことをピアノ協奏曲第1番で、主題の単一化やソナタの各楽章間の切れ目をなくすことで解決しています。この作曲の手法は、次の第2番で、より完成度のたかいものとなりました。両協奏曲は、草稿から完成まで20年以上試行錯誤の歴史があります。それをひもとけば、リストの音楽上の核ともいうべき、テーマとバリエーションを解読出来るでしょう。1989年に出版された協奏曲遺作は、1839年ピアノ協奏曲第1番と第2番の最初のスケッチとして発見されていましたので、長い間忘れられていました。音楽学者ジェイ・ローゼンブラットによる、ニュールンベルグ、ワイマールそしてサンクトペテルブルグの各資料館での調査研究の結果、初めて第3番のピアノ協奏曲として日の目を見ることになりました。『コンチェルトパテティック』は、リストの不完全さ“ノンフィニート”を極端に表すものと言えるでしょう。1849年にリスト自ら《グランドソロ》として書き始め、その後弟子たちに引き継がれ、1952年にガボール・ダルバーシュの非常に誠実で精神性豊かな編集により、草案から実に100年以上の長い歴史の時を経て、雄大な作品ができあがったのです。

リヒャルト・フランク
英子フランク・マノ 訳







リヒャルト・フランク(ピアノ)

 スイスのチューリッヒに生まれる。バルトーク、ブゾーニの高弟、シャイヒュット女史(ハンガリー人)にピアノを師事。チューリッヒ音楽院に学び、ピアノ教師ディブローマSMPV取得。その後、旧西ドイツ国立フライブルグ音楽大学で、ピヒト・アクセンフェルト教授に師事、芸術家資格国家試験に合格して卒業。その後、ジュリアード音楽院に学び、マスターコースでR・フィルクスニー氏に師事。特にリストをライフワークとし1987年リスト協会スイス・日本を設立。世界各国のリスト協会と交流し、研究と普及に努める。ヨーロッパ各地、アメリカ合衆国、中国、東南アジア、日本でリサイタル、コンチェルト、ディオ、室内楽等の演奏活動をしている。また、新しいコンサートプログラミングで、リストを発掘して内外から注目を集める。演奏活動の他に、夏期国際音楽アカデミーの教授陣としてレンク(スイス)、ローマ・レスピーギ音楽(イタリア)に招かれ後進の指導に当たり、教育者としても信頼されている。‘95年秋、ドイツアウロホーン社より「リストピアノ協奏曲全集」のCDをリリース。現在、同志社女子大学音楽科講師。リスト協会スイス・日本会長。


ロバート・ハート・ベーカー

 ニューヨーク生まれで、マンハッタン音楽学校で指揮法と作曲を学び、ハーバード大学を優秀な成績で卒業。イェール大学でオーケストラ指揮法の博士号を取得。彼の恩師は、バーンスタインやカラヤン、ミュラー等である。アメリカ若手指揮者の中で、最も豊富な経験を積んだホープの1人である。Dr.ベーカーは、現在アッシュビルオーケストラ、セントルイスフィルハーモニックオーケストラ、ヨークシンフォニーオーケストラの常任指揮と音楽監督を務めている。彼は、E.ブロッホのシンフォニーのCDを世界で最初に出し、他多数のCDがある。


ゼゲットシンフォニックオーケストラ(ハンガリー)

 1969年に設立された市立オーケストラ。歌劇の伴奏とシンフォニーコンサートの開催という2つの大きな任務を果たしている。レパートリーは、バロックから現代音楽まで幅広く、多くの海外公演でも成功を修めている。1991年より芸術監督はE.アーチェル。ウンガロトン、オリンピアCD、ボンジョバンニ70各社よりCDを発売している。