デジタル釣法


インターネットの釣り仲間たちと雑談していたら「デジタル釣法」というコトバが飛び出してきた。語感から、パソコンとネットを駆使して釣果記録をデータベース化して釣果を分析予測……と、なにやらとても現代風な釣りのイメージが先行しそうだが、実はそうではない。

なんのことはない、「釣果ゼロか1匹かの釣り」の事をいうのである。
釣果を報告しあう時、ボウズか1匹だけだったら「またデジタルな釣りやったわけやね!」とか言って楽しむわけだ。

もっとも、見方を変えれば釣果ゼロと1匹は大違いである。今回はそんなハナシ。

さて、コンピュータの世界はゼロと1、どちらかしかなくてドライに割り切れるわけだが、釣りの世界ではゼロと1の間はメチャメチャに広く、それこそ無限の荒野ともいうべき距離がそこに存在する。

釣果ゼロのまま釣り続けている時、釣人の頭の中は、ローンやら借金返済のことやら子どもの進学やら職場の人間関係やら売上目標やらがゴチャ混ぜに飛び交い、それこそ「地獄の釜」状態である。

ところが1匹掛かったとなると、とたんに脳の中が瞬時に白紙となる。この「一瞬脳ミソ真っ白け状態」は、大脳生理学的に見ても非常によいストレス解消になるのだそうだ。

魚が全然釣れないか1匹手に入れるか、たったそれだけの違いで、釣人は地獄から天国へ一気に駆け上ることができる幸せな生き物なのである。

この意味では1匹と2匹の差は、さほどないと思う。もちろんドンドン釣れた方が楽しいに決まっているわけだが、こうなるとあとはただ数が増えるだけのことで、ゼロ→1ほどの大転換ではない。

ボウズかボウズを逃れるか…。地獄の釜脳ミソ釣人と魚の攻防戦は永遠に続く。



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