大物に糸プッツン




磯釣りを長くしていると、時々とんでもない「怪物」が針に食いついてくる。
大きく曲がる竿、海に引き込まれるような強引。

竿はもう立てられない。穂先は垂直に海に突き刺さる。レバーブレーキでやりとりするとか、ドラグに頼るとか、もはや、そういうレベルを完全に通り越し、 ガツン!、グイグイ、グィ~ィ~ィ~!

で、容赦ないズン、ズン、ズン、ズンの強引が続いて、
最後は、両手で竿を持ってるだけで精一杯。
その果てに、いきなりプツンと糸が切れる。

突然の強引からの解放・・・。 真っ直ぐになった竿からフワフワと風になびく糸を見ながら、立ちすくみ、放心状態でポツリ。
「・・・今の・・・何?!」
もう何度、この目に遭ったことか・・・。

例えば、ゾウが歩いててクモの巣をひっかけても、 当のゾウは全然、気にかけない。これと全く同じ事が海の中で起こるわけだ。 正に怪物・・・

で、その正体は?
巨大イズスミ、クエ、イシダイ、果てはサメ、イルカ、ウミガメ・・・
帰途、車の中で釣友と思いつくまま想像するが、この目で見てないわけだから、つまり解らない。

かくして、 より太い竿と糸という数段強力なタックルを用意し、
釣人はまた同じ磯に立つ。
・・・で、また同じ目に遭うのだ。今回もまた懲りもせず・・・。

和歌山県、とある名礁での出来事。



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