ごうごうたる激流のただ中で



サイトの企画運営という仕事柄、インターネットに接する時間が仕事のかなりの部分を占めている。ビジネスの目でこの世界に日々触れていると、「激変」という言葉を肌で実感せずにはいられない。

私は1989年にインターネットの前身であるパソコン通信を知ったが、この間、今に至るまでのハード・ソフト両面のパソコンとネット世界の激変ぶりは今さら説明不要だろう。

ある時点で最新だった技術や情報、商品がわずか数ヶ月で古い陳腐なものになり果てる。書店で欲しいを目にしたら、その場で即買いしないと次に行ったらまずもう無いはずだ。

メールやネット通販なんてもう当たり前で、多くの人がコンビニ感覚で手軽に利用している。知らない言葉はポンポンとキーを叩いて検索すれば、たちどころに詳しい情報が入手でき、その気になりさえすれば、一晩で素人が専門家顔負けの情報通になれる。ほんの少し昔、誰がこの世相を正しく予想できたであろうか。図書館で遅々と調べ物をしていたあの時代はもうはるか昔の事だ。

また、昨今はブログが大流行だが、どんなに人気ある上位ブログでも、たった一ヶ月ほどでキレイに入れ替わってしまうという。

そうなのだ、インターネットを軸に時代と暮らしの有り様は、正に囂々と音を立てて変動している。短期間にこれほど速く進化、浸透した技術・事象は人類史上かつて類が無いのではあるまいか?

そんな時代を見すえ、これからを遠く見つめる時、私の脳裏に浮かぶのは「普遍」あるいは「不変」の言葉である。激動の世界に生きているからこそ、逆に、変わらないもの、普遍への希求はますます高まり、人はそこに心の満足を求めていくだろう。

人によっては例えばそれは宗教の世界かもしれない。色即是空、諸行無常・・・仏教をはじめとする東洋思想は太古からその悟りの思想を伝えている。

視点を変え、現世の商品群で言うと、ジッポーのライター、亀の子タワシなどが思い浮かんでくる。昔からその姿を変えず、世代を越えてずっと売れ続けているロングセラー商品だ。

2007年という新しい年の始まりに、激変する時代のただ中で、地に足をしっかりつけたブレない視点で、これらの商品のようにこれからをずっと生き抜けたらと、少し正月ボケした頭で切に思うのである。



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