45の各種同等管
Left to Right MX245(Marathon)、UX245(RCA)、445(De Forest)、RX245(unknown)、AC245(Rogers)
左から、MX245(Marathon)、UX245(RCA)、445(De Forest)、RX245、そしてAC245(Rogers)です。
245は、250発売の1年後 1929年に登場した米国民生用出力管の傑作です。 開発は、250同様 Westinghouse社によって行われました。
MX245は、Marathon(Northern Manufacturing Company のブランド名)の物で、メッシュプレートを採用しています(通常のプレートを使用している場合も有ります)。 250同様メッシュプレートは、中小のメーカーが多く採用したようです。 同社は、後に他3社と1929年にNational Union社を設立しましたので、このMX245は、その直前に発売された物と言うことになります。
次は一般的なRCAの245です。 245も250同様製造は、GE、Westinghouse社が行っていました。 なお、RCAは メッシュプレートを採用しなかったようです。
445は、De Forest社の400番シリーズの真空管です。 写真では分かりにくいかもしれませんが、プレート上部に各電極のスペーサーとして三角形のマイカ板を採用しています。
この時代(1920年代後半)以降、米国真空管の特徴でもあるのですが、規格が統一され各社同一型番共作となり、個性的な製品がほとんど見られなくなってしまいます。 こうした中で、少し変わった245を発売した勇気有る?製品を2点紹介します。
RX245は、残念ながら今のところメーカーの特定が出来ませんが、非常に面白い真空管です。 アイスホッケーのゴールキーパーが着けているフェイスガードの様な金属板がプレート両側に取り付けられています。 プレートから少し距離が有るので、単なる放熱板でもないようです。 当時一応特許申請していたようですが、効果のほどは???です。
最後の250のように見えるAC245は、カナダのRogers(カナダでのDe Forestの特許使用権を持っていました)製245です。 外観は、250をそのまま245サイズにしたような真空管です。
プレートは、通常の2倍近い大型の物(WEのVT52とほぼ同一サイズ)を採用しています。 また、フィラメントは、逆V字型の1本吊り(他社は全て逆W字型の2本吊り)という変わり種です。
Left to right 45(RCA)、102A(Boonton)、45(unknown)
左から45(RCA)、102A(Boonton)、それに白タイトベースの45です。
245がST14タイプに小型化されたのは、2A3が登場した1933年頃からです。
左は、代表的なRCAの45です。 1930年代には、6L6などの能率の良いビーム管や5極管が新たに登場しましたが、音質が重視された家庭用電蓄の分野などでは、ファイナル管の地位をその後も守り続けました。
WEの業務用管のような名前の102Aは、Boonton社製の45同等管です。 同社は、放送用機器や測定器の分野で米国やカナダでは有名な会社ですが、この102Aもそうした業務用に使われていたようです。 細部を通常の45と比較するとグリッドのピッチが若干細かくなっています。 写真の真空管は、カナダ製です。
最後は、セラミック製のベースを使用した45です。 メーカーは、表示が消えてしまって不明ですが、マイカの形状等からNational Union社あたりと思われます。
この真空管は、ベースの特徴から通常の出力管というよりVT52同様軍用の小型無線機に使用された物と思われます。
Left to right 45A(Silvertone)、VT52(National Union)、38142(VT52) (Hytron)
左から45A(Silvertone),VT52(National Union),38142(VT52)(Hytron)です。
ここでは、45の発展型である45AとVT52を紹介します。
45Aは、日本流に言うと超45といったところです。 写真の球は、Silvertone製で、外形はST16サイズ(VT52も同様)と大きくなっています。 規格も45を上回り、出力もシングルで3Wとパワーアップされています。 ちょっと面白い真空管です。
VT52は、米国では45 Specialとも呼ばれています。 元々はWE社が1930年代末に軍用(可搬式や航空機搭載小型無線機用)として開発した球で、当時民間に出回る事は有りませんでした。 また、当然その規格も公表されませんでした。
写真のVT52は、National Union社(通称NU)製で、プレートの色とマイカの形を除いて、WEのVT52と見分けがつかないほど似ています。 フィラメントも同じく3本吊りです。 同社は、この他にも350BなどWE型の真空管を一時期製造していました。 300Bも製造していたかもしれません。
最後は、お馴染みのHytron社のVT52(写真の球は軍ナンバーの38142)です。 プレートのサイズは、NUやWEの物よりさらに一回り大型で、45と同規格とはとても思えないサイズ(45の2倍近い)の真空管です。 同社のVT52も第二次大戦中の物が多く、恐らくWEの補完用として製造されたものと思われます。(写真の物も1943年製)
なお、VT52は、45 Specialという事で、フィラメント電圧以外の特性は、45と同じです(余裕はかなり有ると思います)。 フィラメント電圧については諸説有るようですが、Hytronの物は、6.3Vで良い(WEとNUもこれで十分エミッションは得られます)ですが、WE、NU両者のVT52は、7V程度を想定しているようです。(試験の結果では、フィラメント電流はどれも同じでした)
TUBE DATA
ITEM Vf(V) If(A) Va(V) Vg(V) Ia(mA) Ri(ohm) Gm(mA/V u Ra(ohm) Po(W) Pa(W)
45 2.5 1.5 275 -56 36 1700 2.05 3.5 4600 2.0 --
45A 2.5 1.5 325 -68 43 --- --- 3.5 3200 3.0 --
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