PTSD(心的外傷後ストレス障害) |
侵入 | 回避性の症状・反応麻痺性の症状 | |
侵入性症状 | 自律神経系の興奮及び過覚醒 | |
回避・反応麻痺 | 自律神経系の興奮及び過覚醒の症状 | |
治療 |
侵入 | ||
日常生活で思いがけないような出来事に心を痛めるといった経験は誰にでもあることです。しかし、人はその出来事を思い出すたび「大変なことになった」というショッキングな気持ちや「なんでこんなことになってしまったんだ」という怒りの感情がよみがえってきます。それを何回か繰り返すうちに、その出来事を思い出しても、激しい感情が次第に薄れていき、最後には「大したことないではないか」というふうに思えてくるようになります。つまり、繰り返し思い出したり、その思い出を話したりすることで、その体験を消化し、既存の認知的枠組みに取り込むことに成功します。 しかし、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になるような体験はその人の認知的枠組みに組み込まれることなく、どれだけ時間が経過したも過去の思い出とはならないのです。とういのも、その記憶はまるで「瞬間冷凍された体験」のように生々しく保存されてしまうからです。自らの処理能力を超えるような強烈な体験をした場合、心が自らを守るために、それを瞬間冷凍してしまうためです。それによって、その体験に関するさまざまな記憶、例えば視覚や聴覚などの諸感覚の記憶、情緒や感情、その際に抱いた考えや思考などはとりあえずひとかたまりとなり、心の他の領域に影響を及ぼさなくなります。 通常の記憶の場合には時間が経つにつれその質が変化していくものですが、このトラウマは「瞬間冷凍」であるため、鮮度はずっと保たれてます。かなり時間が経過した後、何らかの理由で瞬間冷凍された体験が解けた場合、そこに凍り付いていた記憶の一部は、非常に生々しいかたちで心に侵入してくるのです。 TOP |
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侵入性症状 | ||
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回避・反応麻痺 | ||
侵入性症状は思い出したくないのに思い出させてしまうというものですが、回避性症状(狭窄)は健忘のようにトラウマとなった体験を思い出させないようにするものです。一見正反対ともいえるような状態が同居していることをどう理解すればいいのでしょうか。この事を理解するためには、先に述べた「体験の瞬間冷凍」という考え方が役に立つと思われます。 回避性(狭窄)の症状はトラウマ体験を思い出させるきっかけとなりうる刺激を避けようとするものであり、瞬間冷凍されたトラウマが解凍されて自己を抑制したり、あるいは解体してしまうような状態を避けようとする意味が含まれています。一方、侵入性の症状はある意味ショッキングな体験に対する通常の反応と類似したものであると言えましょう。 このようにしてみてみると、一見正反対にみえる回避性症状(狭窄)と侵入性症状はいづれもトラウマから自己を守ったり、あるいはトラウマを解消しようとするこころの動きが固定化し、何らかの不適応をもたらす症状になったものと理解できるでしょう。 TOP |
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回避性の症状・反応麻痺性の症状 | ||
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自律神経系の興奮及び過覚醒 | ||
トラウマになるような危険にされされている状況では、周囲の刺激に敏感になったり、神経を興奮させて不測の事態に備えておくことが、逃げるにせよもしくは戦うにせよ自分の身を守るために必要なことであり、状況に適したものであると言えるです。また、そうした危機状態が去った後でも、しばらくの間は危機の再来に備えて興奮状態を維持したおくことも、事態に対応した適切な反応です。 しかし、危機状態が去ってかなりの時間を経てもこうした状況が継続し、それが日常生活の妨げになっている場合には、これらの興奮や過覚醒は症状となってしまいます。』 健康な人なら持っている、警戒しながらリラックスもしているというレベルの注意の「基準」がなく、覚醒の基準が高くなっているのです。 TOP |
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自律神経系の興奮及び過覚醒の症状 | ||
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治療法 | ||
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「トラウマ」西澤哲氏より |