地球の自転に伴って、明暗は24時間で交代します。それを受けて我々人類は太陽が昇ると起床し、食事をし、仕事をします。そして日が沈むと就寝して休養を取ります。この様に24時間周期で繰り返す周期性をサーカディアンリズム・概日性リズムと呼びます。
私たち大人はこのような環境の変化に対応して生物時計が働いて、昼間は働き、夜は寝て休息を取るというサーカディアンリズムが出来上がっています。ところが既にお産の体験者の方はお分かりでしょうが、産み月にはいるとこの24時間リズムに変化が現れます。殆どの妊婦さんが数時間単位の細切れ睡眠型に移行します。何故でしょう。私はこの変化は産後の授乳に備えて細切れ睡眠のトレーニングを始めているのだと考えていますが、皆さんはどうでしょうか。
一方赤ちゃんの方はどうでしょうか。ラットの場合そのサーカディアンリズムは実母のリズムを基本として、胎生期に作られているという報告があります。人間の場合でも、胎児の時期にその睡眠のリズムは母親の睡眠リズムと同調を始めているようです(母親が夢を見ると、胎児も夢を見るとか乳児の最長睡眠の入眠時刻は出生直後から20〜1時の間)。この様に母親が眠れば胎児も眠り、母親が夢を見れば胎児も夢を見るという現象は、産後の母と子の共生へ向けての一つの準備運動と考えたらどうでしょう。尤も赤ちゃんの睡眠リズムは生れて暫くの間は正確に言えば概日性リズムではなく、3〜4時間単位のウルトラディアンリズムですが。
従って出産暫くの間は、3〜4時間単位の赤ちゃんの睡眠や食欲のリズムに、お母さんの生活リズムを合わせていると、分娩前より細切れ睡眠のトレーニングをしていたお母さんにとって、さほどの苦労をしなくとも赤ちゃんの生活リズムに自らのリズムを合わせることが可能であり、細切れ睡眠もさほどの苦痛ではなくなります。
この胎内より始まった母と子の絆作りの原点ともいえる生物時計の同調は、出産直後からの母子同室によってのみ、いち早く確立されるものであり、よりスムースな母子の共生、そして楽しい母乳育児を成功させる基盤ともなるものです。
そしてこの場合、仮に母子異室制により、出産直後から母と子が隔離された場合、折角産後の共生を目指して積み重ねてきた細切れ睡眠への努力も、全くの水泡に帰してしまいます。