
1900年代初頭、米国では赤ちゃんを感染から守るために、新生児室を作り、生まれたばかりの赤ちゃんをそこに収容する母子異室制度が普及しました。
しかし、1940年代にはいるや、出生直後からの母子分離が問題となり、又、母子相互作用についての意義の解明が進むに連れて、母子異室制に批判の目が向けられるようになりました。
一方、我が国の母子異室制の導入は大幅に遅れて第二次世界大戦後となります。敗戦後占領軍のGHQの指導の下に新生児室制度が普及し、定着しました。此れは、当時抗生物質療法は未だ黎明期にあり、戦後の混乱の最中、生活環境も極めて劣悪であったために、多くの赤ちゃんが感染症で不幸な転機をとっていた事がその主たる理由です。
しかし近年にいたり、医学の進歩や生活水準の向上と共に、細菌感染症は激減し、赤ちゃんは死ななくなりました。加えて出生直後からの母子接触の重要性と母子同室が、赤ちゃんにとっても母親にとっても母子相互作用の面から、重要である事が分かってきました。しかしそれにもかかわらず二度と赤ちゃんは母親の傍らに、いや懐に帰ってきませんでした。然も今や欧米先進国においても、今日の我が国のように出産直後からの母子異室制が、通常の新生児管理システムとして行われている国は見当たらないといわれます。
今日政界や経済界を始めとして、戦後作られた体制に歪みや制度疲労が顕在化してきた結果、多方面から根本的なその変革が叫ばれていますが、しかし一旦出来上がり、慣れ親しんできたシステムを大きく改革する事はなかなか困難のようです。とはいえ、産科領域における母子異室と安易な人工乳投与に代表される現行の新生児管理システムの改革は、人類の将来にも大きな影響を与え兼ねない緊急のテーマといっても過言ではありません。私たちは越えねばならないその壁が如何に高くとも、人類の存亡を賭けた大問題として(ちょっと大袈裟かな)、この戦後体制の改革に今や真剣に取り組まねばならないのです。
では以下、母子同室・異室制の抱える問題点について順を追って考えたいと思います。
| 1. | 人生が別れで始まる私たちの赤ちゃん |
| 2. | 誰も知らなかった赤ちゃんの能力 |
| 3. | 対細菌・ウイルス感染防御システム |
| 4. | 生物時計 |
| 5. | 生れてはじめて赤ちゃんを抱く母親達 |
| 6. | 可愛いはずなのに愛せないと悩む母親達 |
| 7. | サイレントベビーと引きこもりっ子 |
| 8. | おっぱいがよくでます |
| 9. | ヒューマン方式とブロイラー方式 |
| 10. | 出生早期の凝縮された数日間 |