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: Home > Artists File > 天野 憲一

天野 憲一
あまの けんいち (Amano, Kenichi)

◆展覧会

2006年の展覧会 >

写真展『second nature』
2006年10月9日(月)〜10月14日(土)12:00〜19:00(日曜休廊・土曜日17:00まで)
自然に見えるように剥製師によって形を決められた剥製たちは、とても不自然に見え てくる。美しい毛並みや模様までが人工的に見えてくる。生きている動物とは全く違 うにも関わらず、剥製というだけでありのままの姿であると多くの人は認識してい る。 動物園や博物館の専門的に動物と関わっている研究者たちは口を揃えて言う。 「この剥製は実際の動物と全然違いますよ。」 シンプルに見せるため、白バックで撮影をしてモノクロームで大きく引き伸ばす。そ こにプリントされた物は、もう一つのイメージを想起させてくれる。 そして僕は、そこに含まれるささやかな差異を意識する。



2005年の展覧会 >

写真展『second nature』
2005年9月17日(土)〜9月23日(金)12:00〜19:00(日曜月曜休廊・土曜日17:00まで)
10代の終わり頃、僕は毎日デッサンを描き続けていた。美術の世界に憧れ、芸術系 大学への進学を希望したからだ。 何時間もモチーフを見続け観察をする。時間をかけながら木炭紙に描いていく。夢中 になって(本当に時間を忘れるぐらい)観察をし、木炭の粉を紙の繊維に埋め込む作 業に没頭していた。雲の動きによって光の明暗を感じ、日が傾くにつれモチーフの印 象が少しずつ変わってくことを体感した。 長時間の集中と緊張により神経が研ぎすまされる。モチーフと描かれたデッサンとの 違和感。忍耐強くそのズレを修整していく作業。 モノの輪郭や線、明暗だけを写し取る作業ではなく、モノの存在を想像する。 よく見ること。想像すること。そして正確に表現すること。僕はそれらをデッサンか ら学んだ。  現在の僕はカメラを持って定期的に博物館へ出かけている。陳列された剥製を目の 前にして、細部のディティールを細かく見ていると小さな興奮が起る。そして幾らか の時間を経て少し頭が冷えた頃を見計らい、剥製にカメラを向ける。 まずはファインダーとカメラの操作に全神経を集中する。決して目の合うことが無い 剥製に対していると、かつて生きていたであろう時よりも強い存在を感じる。撮影し たフィルムを持ち帰り、現像とプリント作業を行う。現像液に浸した印画紙から立ち 上がってくるイメージに再び興奮を覚える。いつの日か、そのイメージが逃げないよ う丁寧に定着作業を行う。  仕上がった写真の前で、僕はいつも少し戸惑う。撮影していた時と何かが違う。カ メラが記録した被写体と僕が記憶していた被写体との間には、僅かながら差異を感じ る。それは本当に微妙な違いで、注意を払わないと見落としてしまうし、ただ一度眺 めただけでは見つけられないこともある。もしかすると僕の思い込みだけかもしれな い。何が本物でどれが偽物なのか、そもそも決めつけられるものなのか、分からなく なる。しかし、これら曖昧な掴みどころのなさを、僕は否定的にとらえていない。む しろ信用できる何かを含んでいると確信している。いつからか、second nature(第 二の天性)というものを意識するようになった。 このシリーズでは、剥製・プラスティックのレプリカ・生きている動植物を被写体 としている。作業は現在も継続中である。



2003年の展覧会 >

写真展『second nature』
2003年3月24日(月)〜3月29日(土)12:00〜19:00(日曜休廊・土曜日17:00まで)
私たちはものを見る時、視覚という器官以外のファクターを、知らず知らずセットしてはいないだろうか。例えばそれを経験や認識、記憶といった自己の内に形成されたものと仮定する。
そしてそれら(内)を限りなく遠ざけ、対象物(外)をよく見ることに集中する。この作業は常に驚きをもたらした。この試みは、カメラという装置がなければ実現できないことでもある。



2002年の展覧会 >

写真展『Green』
2002年3月18日(月)〜3月23日(土)12:00〜19:00(土曜日17:00まで)
親父の仕事上の関係で、覚えているだけで5回以上引っ越しをして 3つの小学校に通った。そこで得たものといえば、どうすれば同級 生達と友好的な関係を結べるかということだけだった。あまり深く はつきあわず、自分のことは多くは語らない。冗談をかわしながら 戯けているだけで、「それでよし」の世界だった。

不確かな記憶を確認する。
そのために僕は、むかし暮らしていた町へ旅に出た。 そこに存在するものは、想像していた風景とは全く違っていた。 あまりにも古い記憶は、色あせたファミリーアルバムと僕の頭の中 でしか残ってはいなかった。




2001年の展覧会 >

写真展『memorize』
2001年3月26日(月)〜3月31日(土)12:00〜19:00(日曜休廊・土曜日17:00まで)
記憶の断片を拾っていく
定着された映像
記憶が蘇る

不安定な記憶

過去の出来事が不確かになってくる。
映像によって喚起された記憶が
また僕を締めつけていく。




2000年の展覧会 >

写真展『LOST CHILD』
2000年3月27日(月)〜4月1日(土)12:00〜19:00(土曜日17:00まで)
少年の僕は、夢中になって大きなジャングルジムに登っている。
だけども頂上には、なかなか辿り着けない。
周囲の子どもたちは、僕を追い越してどんどん登っていく。

夢が引き起こした記憶
忘れていた感覚がよみがえる
ジャングルジムの
鉄の冷たさ
剥げ落ちた塗装のザラザラ感
高さの恐怖

頭が少し痛む。
下を見ることもできず、ただ登り続ける。

それはとても寂しいたぐいの夢であったと思う。

その時期の僕は、実際のところ何もすることがなかった。




1999年の展覧会 >

写真展『second nature 〜第二の天性〜』
1999年4月12日(月)〜4月17日(土)12:00〜19:00(土曜日17:00まで)
大きな喪失感だけが、僕のまわりを取り囲んでいる。
毎日、何もせずに、ただ生きている。
なんとかリズムを変えようとするのだけれども、
あの喪失感と倦怠が、僕の邪魔をする。
一体いつからこんな風になってしまったのだろうか。
混沌とした意識のなかで、
僕はどこへ進もうとしているのだろうか。


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